Vol.696「残業問題・ジョブディスクリプション問題」(メールマガジン「人事の目」より)

“日本企業にはJob descriptionがない。何をどこまでやればいいのか不明瞭だ。”と不満をもらすインド人の話を聞きました。この手の声は昔からあります。外人のみならず日本人からも聞くことがあります。

バイトならともかく、正社員になると(新入社員を除き)何をどこまでという指示がないのが現実。そうなると、何をしたらいいのかわからない・・・。そう言われればそうです。一方でそこまで示さないと動けないのか・・・、という思いもありますよね。社員たちの動きを見ながら見よう見まねで仕事を覚えるという育ちをした世代からすると、そのくらい自分で考えてやれと思ってしまう。それが心の声ではないでしょうか。

残業問題も昔からある議論です。生産性が高いと残業手当がもらえない。だから残業手当は生産性向上にとって悪だという主張。一方で、自分の時間を費やしたのだから、費やしただけ手当をもらうのは当然という主張があります。

Job descriptionの有無、残業問題。これらは一元的に議論しようとするから、ややこしくなるのです。

仕事には、
A: 何をすべきか明確でその遂行が求められる仕事
B: 何をすべきかを定義しながら進める仕事、があります。

また、役割としては、
a)投入時間と時間とアウトプット(成果・貢献)量が比例する役割
b)比例しない役割、があります。

Aの仕事にはJob descriptionが必須です。Bではつくれません。aの役割はどのくらい自分の時間を使ったかが問われますから、時間で報酬を払うのは当然です。bの役割は時間管理そのものに意味がありません。

仕事・役割によって違います。これらを一緒くたに議論し、統一基準をつくろうとするから難しくなるのです。

また、本人の志向性・事情としても、
ア) 自分がやるべきことを漏れなくきっちりやりたい(それ以外はやりたくない)という人、
イ) 制限なくやれることはなんでもやりたい(制限してほしくない)という人、がいます。

アの人はJob descriptionがないと不安です。イの人はそれがあるとストレスです。

実態としては「指示してもらいたい。それをきちんと遂行します。ただし、割ける時間には限りがあります。」という人、つまりアの人が大多数です。ですから、アの人たち向けの制度をつくったり、ルールを最初に制定するのは意味があります。ただし、そのルールは少数派のイの人、Bの役割には合いません。

この少数派の人たちが“活きる”ためにどうすればいいのかを同じ路線で議論してはいけません。

Bの「何をすべきかを定義しながら進める仕事」を「制限なくやれることはなんでもやりたい」人が突き詰めてくれるので、新しいビジネスが生まれ、仕事が生まれ、多くの人が潤います。この人たちが“やってられない”という気持ちになってしまうと日本の将来がなくなります。

「働き方改革」の議論が一元的かつこの少数派の本質を見ていない展開になりそうなのが気がかりです。

おまけー1:すごいタクシーに乗りました。まずドアがぎしぎし。ソファが一部破れています。変な人形が正面にぶらさがってます。運転手さんの髪型が自然なパンク状態です。なんとメーターを入れずに走っています。すでに20分経過。(どうしよう・・・)

おまけー2:突然、左目の中で出血。「喰種」か「ターミネーターの末期」という見た目になりました。オフィス近くの眼科に飛び込みましたところ、“結膜炎です。が、最新機器で検査しましたところ、緑内障の恐れがあります。この最新式の器具を使うとあっという間に手術が終わります・・・”ブラックペアン(日曜9時からTBS)を見ているので、心がざわざわしました。(論文作成の症例か・・・)

おまけー3:早朝の神保町のロイヤルホストで朝食。ものすごい早口で喋り合う奥様たちが隣のテーブルに。Prestissimo (♪192~208くらい)。おそるべし。

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