Vol.721「笛吹けど踊ってばっかり」(メールマガジン「人事の目」より) 

頭でっかちな組織は有事に弱いです。

企業として、あるいは担当責任者として、過去の経験値が効かない、時間がない
、失敗すると大きなダメージがある。こんな状況下で、意思決定を行い、迅速に
行動を起こすことが求められている、それが有事です。現在、多くの企業が、
この有事に直面していると思います。

トップは焦っています。過去の成功方程式がほつれているのはわかっています。
将来を見据えて激を飛ばします。“このままではダメだ。過去にとらわれずに
改革を進めよ!”ところが、笛吹けど踊ってばっかりで前に進みません。議論は活発です。
しかし何が変わっていくわけではない。こんな状態の組織を多く目にします。

この組織の幹部は優秀です。勉強もしています。新しいことを始めようとすると
徹底的に分析し、リスクの検証をします。そのコンセプトについて延々と議論をします。
オフサイトミーティングも得意です。ところが一向にスタートしません。新しいことは、
やってみないとわからないのにも関わらず、将来予測に時間と労力をかけがちです。

頭でっかちです。動きません。

過去の成功方程式が強固であった場合、個々の社員がそれほど頭を悩ませなくても
売上があがります。コストのことをそれほど意識しなくても利益を確保できます。
言うならば、努力しなくても成長してしまうわけです。そうなると課題として
スポットライトがあたるのは「人」になります。こういう企業では、社員個々の
成長を促進することが目標となります。いきおい研修が極めて充実しています。(多いです。)

こうした企業の社員に特徴的な動きがあります。メールへの反応が遅いです。2日、3日
返事がないことが当たり前です。メールは24時間ルール、つまり、受け取ってから
24時間以内に何らかの返信を送るのが国際標準ですが、それを大きく逸脱している
時間の感覚です。最近ではSNSをコミュニケーション手段に使っている企業も少なく
ありません。SNSですと、24時間以内ではなくリアルタイム対応が求められているわけです。
このスピード感には到底ついてこれません。

社内の手続きが多いこと。社内ルールが細かく決まっていることも、そういう企業の
特徴です。外に向けるべきエネルギーを社内に向けています。

さらに「顧客」について知りません。顧客第一とか言っていますが、実態としては
顧客のことを何も知りません。この共通する特徴です。

こんな状態になっているときの3つの処方箋です。

組織のサイズを小さくして“自給自足”にすること。つまり、誰かがやってくれる
のではなく、自分でやらないといけない環境にすること。

外部から異端人材をいれること。ご存知の「ナマズとイワシ」の「ナマズ」です。
生命力の弱いイワシを運搬する際、雑食性のナマズを1匹紛れ込ませておくと、
イワシの緊張感が高まり、市場まで生きて届けられる、この状態を意図的につくります。

さらには顧客の声を徹底的に聞くこと。トップが顧客の代表となって動くこと。
トップが本社の最上階に鎮座するのではなく、顧客の代弁者となること。顧客の
声と上の声を一致させること。

これらが「頭でっかち」集団を変える処方箋となります。笛吹けど踊らずよりも、
踊ってばっかりの方がコストがかかります。笛吹いたら動いて欲しいものです。

おまけー1:発売中のThe 21の12月号で「「どんなときも平常心の人」を演じて
なりきってみる、というコーナーで解説しています。
ハロウィンのワンポイントネイルの写真も出ています。

おまけー2:明治座で「魔界転生」を鑑賞。さすがの演出と仕掛け。しかし、舞台に
立っている役者の良し悪しを決めるのはその人の人間性ですね。台詞廻しがうまいとか
アクションができる、とかではなく、立ち姿にその人の生き様が出るなあと痛感しました。

おまけー3:TBSの「モニタリング」で双子が入れ替わったときにその恋人は気が付くかと
いう内容あり。おもしろいですね。いつか、似たようなことをやってみたい。

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