とある企業のエレベータに5人くらいで乗り合わせていたときのことです。
昇降ボタンの前に立っていた20代と思われる女性が”ぷっ”とおならをしました。
(あっ・・・)
なんとも言えない緊張感がエレベータの中に漂ったその直後、
後ろから”ぷっ”という音が。
思わず全員が音の方向を見ると、中年の男性が、
“いやー、うつっちゃった!”
この男性のおかげでエレベータの中は一転して笑いが。
最初のおならの女性だけでなく、そこにいた5人全員が救われました。
絶妙なユーモアです。(自在におならを出せるスキルにも脱帽ですが。)
ユーモアは場の空気を変えます。笑いは最高のアイスブレーキングです。
リーダーともなると、人前で話しをする機会が増えます。
少人数のミーティングをリードすることも日常的になります。
その際に、要件だけ話すというスタイルだと、
聞いている方から緊張感がとれません。
正論でかつ、大事な話しであっても、それ一辺倒だと
聞いている方が身構えてしまいます。
ちょっとした、アイスブレークとしてのユーモア。
このセンスがリーダーのメッセージ力を強めます。
ユーモアとギャクを取り違えてはいけません。
ちょっと古いですが、部下からの提案に対して、”そんなの関係ねぇ!”
といったアクションを職場でやるのはNGです。
また、ダジャレもユーモアと違います。寒くなるだけです。
ボケは時としてユーモアにもなりますが、
“本当にボケている”と思われるリスクがあります。
ユーモアとは「共感されるもの」です。
周囲のみんなが”あー、そうそう”と思うから笑うわけです。
2年くらい前に、”あるある探検隊“というネタがありましたが、変な振り付けや
失神ネタがなければ、ユーモアとしてのセンスがいいものもありましたね。
明らかに周囲からいじられキャラの人がいて、
“来るぞ来るぞ”とみんなが思っている中で、そのヒトがいじられるので、
笑いが起きるのです。そういう空気感が醸成されていない中で
特定個人をネタにしてはいけません。笑っていいものかどうかわからないので、
場の空気がギクシャクします。
自虐ネタもなかなか高度です。
しかし、明らかに自虐ネタを言わない感じの人が敢えて言うことで、
場に安心感が漂います。
この見事な例があります。
映画「不都合な真実」の中で、講演前にアル・ゴアが
「かつて一瞬、大統領だった・・・」と自己紹介するシーンです。
こうしたユーモアはネタとして用意しておくのではなく、自然に出るようにしないと
かえって辛いものがあります。センスですね。
センスというと生来のもの”どうしようもない~”、と落胆することはありません。
このユーモアのセンスを磨くのは実は簡単です。
センスがあるヒトのそばにいて、その呼吸感を盗めばいいのです。
こればっかりは「How to 本」で学ぶのは無理です。
センスあるヒトと時間を共有することで、だんだん馴染んできます。
ある日、普通にユーモアを話している自分に気づくことでしょう。
さて、ユーモア以前の問題として、リーダーがメッセージ力を高めるとしたら
「笑顔」を忘れてはいけません。
リーダーは常に意識して「笑顔」でいましょう。
「笑顔」は伝染し、場の空気を和ませます。
笑っている状況じゃない、という声が聞こえてきそうです。ですけどね、
笑っていられない状況で厳しい顔をしていては、周囲は余計ピリピリします。
厳しい状況であればある程、最高の笑顔でいましょう。
ユーモアの達人でいつも笑顔を絶やさなかったYさんが先週亡くなられました。
私がマーサーの社長時代に、某外資系企業の社長を退任されたYさんにお願いして、
格下のポジションである成長途次の会社のマーケティング部長、
総務部長を歴任してもらいました。
時には、新設の部門の責任者もやってもらいました。
とりわけ、私が考案した「10年後の人事を考える会」については、
その運営の全てを担当してもらっていました。
この会のOB・OG会がずっと続いているのは、
ひとえにYさんのお人柄に他なりません。
会議を移動中の車内での電話会議に変更して、告別式に参列してきました。
それにしても早すぎるご逝去。告別式に20分しか参加できず、
夜の会食までスケジュールがぎっしり。余韻に浸る間もなかったですが、
さすがに、この日は凹みました・・・。(合掌)
おまけ:次回「300号」をもって、予告通り、しばらく休刊いたします。
サイトはオープンしたままでおきますので、バックナンバー、掲示板などを
ご活用いただけますと幸いです。