この4月、某企業の特別枠採用の新入社員5名をお預かりして、”普通ではない”
特訓をします。
今から十数年前、この企業の現トップマネジメントが部長級だったころに、
将来の幹部をどう育てるかについて大激論しました。そのときの”議論”がいよいよ
稼働するのです。
当時(今もですが)、私の問題意識はトップマネジメント層の年齢の高さでした。
日本の大企業の社長の大多数が55歳から65歳、一方で欧米の多国籍企業のCEO/COOは
45歳から55歳。この10年の違いは馬鹿にできません。会社全体のスピード感に
影響が出ます。
45歳から55歳というと、知力、気力、体力、経験値が最も充実する時期です。
一方、55歳以上になりますと(個人差はありますが)、さすがに体力が下り阪になり、
時差の異なる地域をまたいでのビジネスがキツくなります。
また、年齢が高くなればなるほど、リスク(不確実性)が高い案件への大胆な対応が
遅くなります。若ければ仮に失敗したとしても、挽回する時間が自分にあります。
年齢が高くなりますと自分の手で挽回するのが現実的には難しくなります。これが、
リスクを伴う意思決定への”直感的な反応スピード”に影響を与えます。
グローバルな環境でビジネスをリードしていくことを考えると、「スピード感」は
絶対的に重要です。このためには日本企業でもアラフィーがトップマネジメントになるのを
当たり前にしないといけない、それを想定した幹部育成が必要になります。
この幹部育成を進めるための肝が「人事権」の置き所です。幹部候補と認定されたら、
その「人事権」を本社で特別管理する。これなしにはうまくいきません。
優秀な人材であればあるほど、その人材の育成が進みにくくなります。現場の長が
“今のビジネスの成果”を人質にするからです。育成のための配置転換、研修への参加が
目の前の課題に負けます。この議論を根本からなくさないといけません。そのための措置が
「人事権」の特別管理です。
幹部育成を早期から実行することを考えると、入口(採用)から、将来の幹部候補生として
採用して、別管理にするのが理想的です。幹部候補生として採用したものの、”眼鏡違い”
であったり、本人の意思が違った場合には、そこから違う道に変更します。幹部候補生としての
採用ではなかったが、現場で”化ける”ヒトも当然います。この手の逸材が出た場合には、
然るべく登用します。
これを本格的にやろう、というのがその時の議論でした。
今回、私がお預かりする5名は入口から特別枠の1期生。十数年前の議論が今、本格稼働
することになりました。他の企業でも似たようなプランはあります。しかし、私の知る限り、
ここまで純粋にやりきろうとしている企業は他にありません。
昨日、この5名と個別に1時間話しました。さすがの特別枠。全員気に入りました。
この連中が社長面接に臨めばどこの企業でも真っ先に内定が出ると思います。
社長面接に臨めば・・・と書きましたのは理由があります。
この連中はいい意味で”規定の枠”に囚われていません。そうなると、普通の選考プロセス
だと初期の段階で”落ちる”可能性があります。特に、WEBによる大量エントリー、
アウトソース先によるガイドラインに沿った選考の中では「?」がつき、選考から漏れてしまう
く可能性が大です。
特別枠の発掘を行おうとしたら、大量応募への機械的な対応では難しいと思います。
従来通りの普通枠の対応とヘッドハンター的な動きをする特別枠対応の2つの採用チームに
ヒトを割く覚悟が必要です。
さて、この連中に対して行う”普通でない研修”ですが、主たるコンセプトは以下の3点です。
・健全な野心
・ホスピタリティ(相手の想いを予見して動く力)
・インプット/スループット/アウトプットの最適展開
特に幹部候補生だからこそ、「健全な野心」について力点を置きたいと思っています。
「志あるもの」にヒトは惹かれます。一方で「野心が強い」ヒトからはヒトが離れます。
若い逸材に勘違いさせてはいけないと強く思っています。
“あなたを特別扱いにするのは、それがみんなのためになるからと思っているからで、
あなたのためではない。” これが私から彼ら彼女らに贈る最初の言葉になるでしょう。
おまけー1:”普通”でない研修のための体験型ケーススタディの新作づくりが佳境です
。自分で言うのもなんですが、スゴイ内容になってきました!
(ネタバレになるので書けないのが辛い)
おまけー2:クリエイティブなことに脳力を使っていると”あんパン”が切れます。
その日もそう。16時頃から”あんパン”が切れて、近くのコンビニに出掛けたところ「売り切れ」。
ちょっと離れたコンビニにもなし。”げげっ”と思い、その先のスーパーに足を伸ばしましたが、
そこにもなし!
「あんパンが神谷町から消えた!」と騒いでいたら、識者が一言。
「あー、それは神谷町で刑事の張り込みが本格化したからだな。」
おまけー3:「リーダー 研修」とGoogleで検索するとなぜかIndigo BlueがTOPに出るよう
になってから、問い合わせが頻発してきました。昨日も某TV局から取材依頼の電話が。
しかし、私のタイミングが合わず。残念。