Vol.580 組織的不祥事の根源

先週、都内某区の校長・園長先生の集まりで講演する機会がありました。

「教育現場=学校」は国として最も投資すべきところだと思います。「学校」が疲弊

していると国の未来がおぼつきません。国にとって最も大事な資源であり資産である

“ヒト”が劣化します。

ところが、現実はなかなか厳しい状況です。予算、教員の年齢断層問題、校長の人事権、

予算権限の少なさ・・・。「学校」がより良い教育現場になるようにできることをしたい!

この想いから10年ほど前から、学校の教員向けの講演活動を全国で続けています。

(本業のスケジュールが優先なので月2回までしかお受けしていませんが、

どの会場でみなさん熱心に聞いていただけるのでやりがいがあります。)

今回、講演が終わった後に、こういう質問がありました。

「最近日本を代表する企業で不祥事が続いている。なんでこういうことが起きるのか。」

痛い質問です。

子供たちが「学校」を巣立って、“一流”と言われる企業に入社する。教師としては

肩の荷が下りる想いでしょう。その子の将来を嘱望して胸が膨らむ想いでいるところに、

その“一流”企業で信じられないような不祥事が起きる。いったい企業は何をやっているのか・・・。

こうした気持ちになるのは当然です。

隠ぺい、不正、情報操作・・。組織をめぐる問題はなかなか無くなりません。10年ほど前に

某社で起きた死傷事故の第三者委員会の副委員長を務めてから、このテーマに関心を持ちました。

リスクマネジメントや心理学の専門家の方がまとめられた書籍もいくつか読んでみました。

組織の不祥事の根絶は本当に難しいと思います。悪いとわかっているのに不正行為をする。

それを見て見ぬふりをする・・・

ヒトは集団の中に入ると、その集団の“しきたり”に従うことを黙示的に要請されます。

また、そこを支配しているパワーの中で動くことが要請されます。これに従わないでいると、

“扱いにくいやつ”“自分勝手なやつ”という評価になり、“仲間外れ”になります。

次第に自分の居場所がなくなっていきます。そうなりたくないので、多くのヒトが

その組織行動を支配する目に見えない力に従うようになるのです。

決められた会議に出席しない、納期を守らない、会議で意見を言わずに陰口を言う・・・、

こうした“そりゃダメでしょう”という行為は同根です。それを看過している風土の

問題です。上だけの問題ではありません。こうした行動が散見される場合には組織的な

不祥事に発展する可能性ありと思います。

これ上が変われば変わるわけでもありません。とあるオーナー系企業の話です。この企業、

数年前に外資に買収されました。経営陣や部長クラスが総取り替えになりましたが、

悪しき組織行動はそのままだそうです。隣の席のヒトへの連絡もメールで済ます、

伝言は伝わらなくて当たり前、困っているヒトがいても手を貸さない・・・。

この企業の内実を良く知る方から聞きました。驚きです。

私は、こうした組織行動の根底にあるのは「自信の無さに起因する弱さ」だと思っています。

周囲からどう思われるのかとても気になる。悪く思われたくない。これは個々人の自信の

無さに起因しています。

Employability(雇いたいと思わせる実力)と自分はどうしたいという意思があれば、

弱さに負けることはありません。自分の実力を過信するのはいけません。しかし、

自分の力で生きていける、家族を養っていけるという自信が育まれていれば、

自分がおかしいと思う行動に手を染めることはないでしょう。

ブラック企業問題もそうです。ブラックだと思ったら辞めればいいのです。

ブラックでも仕方がない、という人だけが残ることになります。そういう企業には

未来がありません。(いずれなくなります)

「Employabilityと自信。これらを意識してヒトを育てていくことが不祥事を減らす

ことになるのではないでしょうか。」・・・これが質問に対する回答でした。

これだけで不祥事が根絶されるとは思えません。しかし、Employabilityと自信ある人が

増えてくればその集団の性質が変わり、不祥事に発展する可能性が減るのではないかと。

少なくとも社外取締役を増やして監視を強化するよりは良いと思っています。

おまけー1:“お財布落としませんでしたか?” 札束の入ったお財布を差し出す若者あり。

声をかけてきた人の先を見ると大勢の顔が・・・。これドッキリカメラかなー。

もちろん、私の財布ではなかったので“違います”と言いましたが。

おまけー2:11月13日。CATVのあるチャンネルはずーっと「13日の金曜日特集」。

11月13日だからジェイソン見よう、っていう人がいるのだろうか。

おまけー3:ポッキーの“シェアハピダンス”が流行っているが、これは私が大学生時代に

流行った“どーんと出た花火がきれいだなー”宴会芸の連鎖と同じ。

(だからついやりたくなるのかー)

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