Vol.616 働き方改革の本丸

“このままだと日本の大企業は圧倒的に劣位になる”

米国の先進企業の視察から戻ってこられた方のお話しを聞いて危機感を強めました。

日本の大企業の働き方と全く違います。

“みんな目の色が違う。指示を待ったり、顔色を窺ったりしない。自分でどんどん

やっている。意思決定は数名。決まるとあとは全員がどんどんやる。社内の誰かのための

仕事は少ない。会議のための資料作成とか、決まったか決まってないかわからないような

会議はない。とにかく、わくわくしながら仕事をしている。”

Work and life, and …fun! 最後のfun!があるかどうか。これが大きいと思います。

この違いを生んでいるものは、仕事内容を自分でデザインして自分で管理して

進めているか、それとも誰かの管理の下で評価を気にしながら言われたことをやっているか。

この違いだと思います。

「わくわくしながら、どんどん仕事をする集団」と「周囲の目を気にした指示待ちの集団」。

どっちが強いか、どちらが魅力的か。考えるまでもありません、優秀な人材はこぞって

前者の会社に移っていきます。どこにも移れない人が後者の会社に滞留します。

仕事もきちんとやりたい。家庭や私生活も充実させたい。仕事のためにそれ以外を

犠牲にするような働き方をしていると人生の最終節で必ず後悔します。今の若い優秀な

人材はこのことをわかっています。

働き方を変える。これは日本企業の最大のテーマの一つでしょう。

内閣改造で働き方改革相が新設されたのは良いことだと思っています。国としてこれを

課題視したわけですから。但し、首相が会見で強調したとされる「同一労働同一賃金を実現し、

非正規という言葉をこの国から一掃する」、この実現だけを見つめて進めると本質を

見失うことになります。

働いている人の多くが(全員とは言いません)わくわくしながら、どんどん仕事をし、

かつ家庭も私生活も充実させているようにすること。これがゴールだと思います・

これが実現しますと国全体か明るくなります。人口が減ったとしても活力ある社会が実現します。

わくわくしながら働くために元気になろうとする人が増えると健保財政が悪化しません。

また年齢関係なく働くようになると、年金財源の問題も緩和されます。当然ながら消費も増えます。

このために必要なことは「働き方」と「その周辺の既成概念」を変える。

これが働き方改革の取り組むべき課題です。

課題は満載です。例えば、「新卒一括採用」「時間管理のあり方」「目標管理制度」

「個人保証を求める金融機関」「(新しいことに)ついていけない人たち+変化を

受け入れない人たちへの過剰な配慮」等、対処すべき課題は明らかです。

多くの識者が指摘する通りです。

「新卒一括採用」は若い世代の人たちに“何をしたいか?”ではなく、“どの会社に

就職したいか?”という意識を醸成します。これは給料をもらうために労働する

「サラリーマン」を大量に生み出す温床です。

ホワイトカラーの仕事についている人は秘書、アシスタントなどのサポート職を除き、

時間管理を自分で行えるようにした方がいいです。これが前々から私が主張している

ホワイトカラーエグゼンプションです。それがないために不必要な残業が生まれたり、

育児や介護を抱える人を働きにくくしています。

そもそも自分の時間の使い方を日常的に誰かに管理されて楽しいわけがない。多くのことを

同時にやろうとしたら、時間配分を考えなければできません。仕事だけでもそうですし、

仕事以外のこと、家族・友人との時間をどう工面するか。それは個々人が自分で考えて

やった方がいいに決まっています。そこに会社の時間管理のルールが制約になるので

ストレスがたまるのです。

「目標管理制度」「個人保証を求める金融機関」も課題です。前者は負けない

(失敗しない)ゴールを選ぶ意識が定着します。後者は起業者の挑戦へのブレーキとなります。

しかし、本丸は「ついていけない人たち+変化を受け入れない人たちへの過剰な配慮」です。

これが災いして、全ての事がなかなか変わりません。

新しい技術やアイディアが生活や働き方を良い方向に変える可能性を提案しても、

そのベネフィット(恩恵)を享受するよりも、それについていけない人たち+変化を

受け入れない人たちへの配慮にお金と労力をかけるという判断になる。ここを変えないと、

どんどん取り残されます。

覚悟を決めてここに取り組むべきだと思っています。企業だけではく、生活・サービス面でも

時代遅れの国になってしまいます。国に働き方改革の気運があります。しかし、

国に頼るのではなくできることをみながチャレンジする。それが本丸解決を早期化すると思います。

おまけー1:UberEATS:ただのUberからここまで。これを可能にしている働き方に注目しています

http://jp.techcrunch.com/2016/03/16/ubereats-standalone-food-delivery-app-launches-in-its-first-u-s-cities/

おまけー2:ご覧になったことがある方も多いでしょう。ロボットキッチン。

http://www.moley.com/

おまけー3:日常に埋没していると未来が見えなくなる。やばいです。

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