Vol.664 信頼しても依存しないチーム

“みなさんは外野を5人で守っている”

 

某大企業の改革に関わったときの私の発言です。

考えられないようなミスが発生した後の話です。

 

野球に例えて言えば、この5人はボールに対する勘、走力、肩の力、いずれも優れています。

しかし、平凡なセンターフライを三塁打にしてしまいました。お互いに“あいつがとるだろう”

と油断。初動が遅くなったからです。これが信じられないようなミスを引き起こしました。

 

こんなこともありました。重大な品質問題が発生し、お客様向けの説明文書を発信しなければ

なりせん。作成者はお客様相談室の誰か。室長、担当部長、担当役員がチェックしたことに

なっていましたが、いざリリース直前に重大な表記ミスがあることがわかりました。

チェックしたといいながら、実はほとんど素通りだったのです。“**がつくったのだから

(見たのだから)問題ないだろう”という思い込がそこにありました。

 

心のどこかにある相互依存。これが初動の遅れた原因です。

 

各人の実力を認め、信頼しているからこそのことなのですが、必要以上の人数で関わっていると、

そこに油断が生まれます。外野なら3人。さきほどの文書のケースでは作成者とチェック者

1名でいいでしょう。自分がやらなかったら誰がやる? という状況をつくっておかないと

“誰かへの依存心”が生まれ、それがミスを引き起こします。

 

人数よりも問題なのは「階層」です。屋上屋を重ねるような組織構造はいけません。

本部長、副本部長、部長、副部長、次長、課長・・・これだと階層が多過ぎ。

“誰かが見てくれる”という依存心を生む温床となります。

 

かつて日本の多くの企業で組織のフラット化を推進しました。そこから10年ほど経過して、

いつのまにか増えしまっていませんか。年齢別人員構成のゆがみから“管理職相当”の

人が大量に発生し、結果として“多階層”に戻っていませんか。

 

社会経済環境がVUCA(Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、

Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)と言われる昨今。戦略と組織体制に

求められるのは「機動性」です。これがないと沈没します。相互依存が起こりうるような

配置や人事制度は見直す時期に来ています。

 

それと、忘れてはならないのは、“自分がやらないと誰がやる”という意識づけです。

プライドをもって仕事に臨む人を増やすこと。恥ずかしいと思うような仕事はしない。

そういう思いの人を増やしましょう。

 

“柴田らしくない” 社会に出て間もないころに上司に諭された言葉を今でも覚えています。

前向きに自分を見直せる言葉でした。

 

一人ひとりが自分の仕事にプライドをもち、相互に信頼するが依存はしない。

こういう集団づくりを目指したいですね。

 

 

おまけー1:“この仕事は自分がやり遂げる”という強い意思があるが、能力が伴わない人に

やらせているとえらいことになります。明らかに算数と聞き取りが弱い人がオーダーを

とっているカフェがありました。

 

お客:“カフェオレとコーヒー”  店員:“かき氷ですか?” 

店長:すみません!

 

店員:“367円です。500円お預かりしましたので、お釣りは633円です。”  

店長:す、すみません!

 

この人の配置を変えないと店長が持ちません。

 

おまけー2:関西弁の「知らんけど」を英語に訳すとどうなるか。なかなか難問です。

 

おススメコーナー:NHKのコント「LIFE」が好きです。観れたり観れなかったりだったので、

DVDボックスを購入。これ本当におもしろい。こういう作家になりたい。

 

http://www.nhk.or.jp/life/

 

 

 

関連記事


TOP
TOP