優秀なプレイヤーはなぜ、優秀なマネージャーになれないか。このテーマで某大学主催の社会人向け講座で全2回の講義をしました。
プレイヤーは自分の時間を自分のために使う。
マネージャーは自分の時間をメンバーのために使う。
自分のパフォーマンスの最大化を気にするのがプレイヤー。
メンバーおよびチームのパフォーマンスの最大化を気にするのがマネージャー。
エネルギーのベクトルが全く違います。ところが、多くの企業、団体でおかしなことが起きています。プレイヤーとして優秀であると評価された人をマネージャーに昇進させています。
昇進・昇格においては、現状の仕事ぶりが優れていたら上位に昇進・昇格させる卒業方式と、上位に求められている要件を満たさない限り、昇進・昇格させない入学方式があります。マネージャーの選抜は入学方式でやるべきです。求められている人材要件が全く違います。もちろん、プレイヤーとしての優秀さを必要条件とするのは賛成です。それに加えて、入学要件を整備すべきです。
例えば、
• アウトプットを出すまでのフローを可視化できるか?
自分がやっている仕事のフローをブレイクダウンすることにより、他の人にその仕事の進め方を伝えることができます。また、複数のメンバーをアサインすることが可能になります。優れたプレイヤーは自己完結(自分ですべてやれてしまう)ため、このフローがブラックボックスです・
• 良き聞き役になれるか?
「聞く」は時に忍耐を要します。相手の話をさえぎることなく、最後まで聞くことができるか。しかも、話し手側が話しやすい雰囲気をつくれるか(表情、相槌、質問など)。優れたプレイヤーは答えが先に見えてしまうと、それを伝えることに注力しがちです。
• 火中の栗を拾えるか?
誰もやりたがらない難事に率先して取り組めるか?率先垂範、汚れ役を引き受けることに躊躇がないか。優れたプレイヤーは自分の利につながらないことは合理的に考えてやらないことが多いです。
このほかにも自分の感情をコントロールできるか、人の気持ちがわかるか、人を褒めることが得意か、などがあります。これらのことができる人をマネージャーに選抜すべきです。
加えて、本人の意思(覚悟)も必要です。好きな仕事を自分で思い切りやるプレイヤーから、他者のために働くマネージャーになるというのは大きな方向転換です。そこに本人の意思(覚悟)がないとやりきれません。自分の精神がやられてしまいます。
組織マネジメントは複雑化しています。従来はメンバーに対して同質性を求め、指示命令に従って動くことを良しとしていました。マネージャーに入る情報ソースも情報量も限定的でした。今や、メンバーに対し、多様性を求め、指示待ちではなく自発的に動くことを良しとしています。扱う情報ソースもミーティング、メール、チャット、SNSなど多様化し、その量も過去とは比較にならないほど増えました。
マネジメントをしっかりやらないと組織が空中分解します。プレイングマネージャーはよほどの人材でない限、無理でしょう。マネージャーの選抜の仕方を要チェックです。
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おまけー3:某社で行動指針に「率先炊飯」と書いてありました。これは・・・
(ちなみに飲食ではありません。)
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