今日のテーマは人事としての「課長」「部長」のマネジメントです。
ちなみに、ここでいう課長とは組織の最小単位で数名のメンバーから構成される組織の長のことです。部長とは複数の「課」を傘下にもつ組織の長のことです。
課長は多くの組織でプレイング・マネージャーです。その課の主要業務に関して最も知見があり、プレイヤーとしても最も仕事ができる一人であることが多いです。課の業績はその課長の個人的な働きぶりによることが少なくありません。プレイヤーとして稼働しなければいけない一方で、個々のメンバーとのコミュニケーションやその成長支援も期待されています。加えて、メンバーの労働時間管理も求められています。いわば“三重苦”状態です。
課長は実にたいへんです。多くの企業・団体で課長が疲労困憊しているのがわかります。それぞれの課長の仕事内容の把握までは難しいでしょうが、課のメンバー数が8名以上のところは要注意です。そもそも、その規模のマネジメントは無理です。プレイヤーとしての貢献、メンバーとの関係性構築・成長支援、労働時間管理、いずれかに問題が生じている可能性が高いです。または無理をし過ぎて“倒れる寸前”になっているでしょう。
この状態を放置して問題が表面化したときに人事としての責任を問われても仕方ありません。(課長をやれる人がいない・・・という実態であったとしても、なんらかのサポート策を講ずるべきです。)
次に「部長」。優れた課長を部長に昇進させるときに人事として気を付けるべきことがあります。
部長と課長は本質的に求められる行動が違います。この点を当事者によく理解してもらう機会を人事として用意してください。
まず、プレイヤーとしての期待がないことを自覚してもらってください。その人がプレイヤーとして最上位の一人であったとしてもです。「課長」のときはプレイヤーとして動いてもいいですが、「部長」になったらそうはいきません。「部長」がプレイヤーとして動いてしまうと、確実にその部はチームとして機能しなくなります。また、本来「課長」がやるべき仕事を奪ってしまうことになります。プレイヤー部長の部は人も成長しなければ、コミュニケーションも希薄。結果としてパフォーマンスも上がりません。
このことをしっかり伝えられることなく部長へ昇進してしまうケースが多いのが実態でしょう。ここは人事の責任として“部長になると求められる行動”が変わることをわかってもらいましょう。
他方でプレイヤー部長が多くなってしまうのは人事制度の問題です。多くの人事制度がマネジメント上の役職者を処遇する仕組みだからです。プレイヤーとして優れた人を高処遇するには役職をつける必要があります。「課長」まではいいでしょう。「部長」より上はNGです。
プレイヤーとして優れた人はプレイヤーとして活躍してもらい高処遇する制度にしましょう。世の中一般の専門職制度は制度としての主体が役職者であることは変わりません。制度の主軸を専門性に置きましょう。マネジメントも「部長」以上になると「マネジメントの専門性」が優れている人を充てるべきです。すべての社員が自分の専門性を意識してその領域での“プロ”を目指す”プロフェッショナル型“人事制度を私が提唱しているのはこのためです。
昇進・昇格の運用だけでなく、その役職が適正に運用されるよう気を配る。それが人事としての「課長」「部長」のマネジメントです。
おまけー1:12月2日のランチタイムセミナーでは、このプロフェッショナル型人事制度についても触れます。ご興味がある方はぜひ!
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おまけー2:フジTVの「全領域異常解決室」にはまっています。
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