1009号「社員を”くれない族”にしないために」(メールマガジン「人事の目」)

「くれない族」という言葉を耳にしたことがあると思います。認めて「くれない」。わかって「くれない」。教えて「くれない」。褒めて「くれない」。あれして「くれない」。これして「くれない」・・・。「○○してくれない」が口癖の人たちのことです。元々は1984年に放映された「くれない族の反乱(主演:大原麗子)」というドラマから生まれた言葉だそうです。

“会社は何もしてくれない”
“自分はこんなに頑張ってるのに認めてくれない”
“教育機会を与えてくれない”

経営者たるもの、こうした声に対する対応の仕方を間違えてはいけません。

会社はCompanyです。そこに集う人々が共通の目標を達成するために協力し合い、社会やそのメンバーに対して貢献する集団のはずなのです。会社をより良くするのは経営者だけの責任ではありません。そこに所属するメンバーの責任でもあるはずです。

不満が寄せられるたびに経営がその対応策を講ずる。このやり方は「くれない族」を増殖させます。社員から当事者意識を奪い、指示待ち集団にし、結果として環境変化に適応できず衰退していくことになります。

単なる不満には経営として対応はしない。提案であれば検討して対応する。この姿勢が必要だと思います。不満を口にする社員たちがいるなら、“では、どうしたいか?(どうすればよいと思うか?)”とプッシュバックすべきだと思うのです。

いわゆる「社員満足度調査」を実施して経年で社員の意識をモニターしている会社も少なくないと思います。中にはそのスコアが部門責任者のKPIになっているケースも目にします。要注意です。

スコアを上げることが目的化していませんか?
高いスコアを得るために社員を“お客様”に仕立て上げていませんか?

満足度が低い項目があったなら、その対策を経営陣で考えるのではなく、希望者に集まってもらい経営陣と共に議論する場を設けましょう。会社側へ求めるだけでなく、自分たちとしては何ができるかを考えてもらいます。このファシリテーションで「くれない族」の増殖は経営のあり方次第で止めるができると私は考えます。

社員の育成についても同じことが言えます。会社や人事がすべきことは成長機会を提供することです。育つ責任を本人から奪わないようにしましょう。自社で求める人材要件として「自ら学び続ける姿勢をもっていること」を明確に打ち出しましょう。その上で成長を支援するプログラムを用意します。そこへの参加は“手上げ”を原則とします。

成長機会を利用しないということはそういう選択をしたということです。昇給や昇格の対象にならなくても致し方ありません。極論するなら、そういう人はCompanyのメンバーではありません。ただし、育児、介護その他のライフイベントとの兼ね合いで参加できない人もいるはずです。各人の事情について良く理解する(受容する)雰囲気をつくるのは経営の責任です。

自分が所属するところの環境を悪くしたいと考える人はいないと思います。その熱量に差はあったとしても、より良い環境にしたいと思っているはずです。その意思を大いに活用しましょう。


おまけー1:“たいふぅー、たいふう、マツケンサンバー♪”と口ずさんではいけません。耳についてとれなくなります。

おまけー2:パリオリンピックの閉会式の同い年のトムクルーズに大いに触発されました。このことを話したところ、“いや、は路線が違う。柴田さんはどちらかというと織田無道だ。”と言われ複雑な想いになりました。

おまけー3:事業系リーダーと人事の勉強会。9月14日開講です。「社内の対立」「社内不正」「内部告発」「多様な働き方と成長機会の両立」「発達障害」「プロジェクトの再建」について議論します。
一緒に議論しませんか。 https://indigoblue.co.jp/thr-kyousou/



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