1045号「根拠のない自信」(メールマガジン「人事の目」)

“根拠のない自信”。もしかすると、リーダーに最も必要な基礎的条件かもしれません。

賢い人ほど根拠を求めます。根拠がしっかりしていないと決めるべきではないと思っています。合理的思考、EBPM(Evidence-Based Policy Makingエビデンスベースの政策決定)、ロジカルシンキングはそのための手法です。

一方でリーダーに求められることは“わからないこと”を決断することです。過去に例がないこと、やってみないとわからないことは“わからないこと”の代表です。こうしたことに決断の根拠を求めようとすると、いつまでも決められなくなります。

“決断に必要な情報は洩れなく得たか?”
“ダウンサイドリスクの分析は十分か?”

根拠の確かさによる決断はその根拠が揺らいだ瞬間に自信が持てなくなり、動きが止まります。新たな根拠を求めた検討が再開します。いつまでも決断できず、機を逃すことになります。現場のフラストレーションも高まります。

“根拠のない自信”があるリーダーは、ある時点で“やれる!”と思ったら決断します。それは“やれると感じたから”です。賢い人の中にはその根拠が希薄だと考える人もいるでしょう。説明不能だとして批判する人もいるでしょう。ただ、そのリーダーはひたすら“やれる!”と信じています。

もちろんそれが上手くいかないこともあります。最終的には時の運です。正しい判断をしても、タイミングが悪ければ期待した結果を得られないことがあります。逆に、タイミングや運が良ければ、必ずしも最良の選択でなくても、成功する場合もあります。そういうものです。

今後ますます動乱の世になるでしょうから、リーダーたるもの、ますます適時決断が求められることになります。これからリーダーになる人達には、根拠探しを徹底するのではなく、自分が“やれる!”と感じる“根拠がない自信”を形成することを意識することをお薦めしたいです。

そのために必要なことが2つあると思います。“このテーマなら自分は第一人者である”とい
う意識をもてること。つまり、なんらかの専門性をもっていること、または“こんな体験をしてきているのは自分だけだ”という特異体験をしていること、です。

自分に専門性があると自信のある領域に変換して判断することができます。
ゼネラリストを育成する人事制度からは自信のある領域をもたない人が大量に生まれます。その結果として根拠探しを徹底しようとする人材が上位に多く存在することになりがちです。これは平時の人事制度で、これからの動乱の世に適した制度ではありません。数年前から私がプロフェッショナル型人事制度への移行を提唱しているのはこのためです。

後者の特異体験はとても重要です。誰がやってもうまくいかない仕事の完遂、修羅場の体験はその成否に関わらず、その特異な体験が自信を涵養(かんよう)します。プロパー集団であれば、他社出向や異業種交流の経験も特異体験に役立ちます。

私が、アラサー非管理職対象のOrganization theater(OT)(登竜門)、アラフォーの管理職対象のOT(昇竜門)、アラフィフの経営幹部候補対象のOT(飛竜門)を異業種で企画しているのはこのためです。

ただし、根拠がない自信にも程度問題はあります。合理的思考が全くないとなると“天照大神”的な力がない限り周囲の信任を得ることができません。井の中の蛙でもいけません。視座を広げ、合理的思考のトレーニングを重ねる必要があります。

リーダーという役割になくとも“根拠ない自信”がある程度あった方が生きやすくなります。アラフォー以上の方で停滞感やこれからどうしようと思っている方へ。PHAZEリカレントの朝活3か月を体験してみてください。
https://phaze.jp/ (5月28日開講です)

おまけ-1:おみくじに書かれた内容を“良い方”に解釈するのは根拠のない自信を育てる第一歩です。

おまけ-2:朝起きてすぐに外で“なんとかなる”と声に出して言ってみると、なんとかなるような気が生まれます。これも“根拠のない自信”を醸成するに役立ちます。

おまけ-3:難しい商談や打ち合わせの前にそれが上手くいくイメージを頭の中で描くことも“根拠のない自信”つくりに役立ちます。





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