リーダーの資質を見極める簡単な方法があります。
宴会の幹事を任せてみることです。
幹事の仕事は意外と多いものです。
参加者のスケジュール調整、店選び、料理や飲み物の手配。
場合によっては場を盛り上げる企画も必要です。
これらを滞りなく進めるには、細かな気配りと準備が欠かせません。
正直、面倒なことばかりです。
それでも嫌がらずにやれるか。
ここに、リーダーとしての「気くばり力」のポテンシャルが表れます。
リーダーの仕事は、メンバーが働きやすい環境を整えること。
幹事業務は、その縮図のようなものです。
一方で、配慮に欠けた幹事もいます。
誰の希望も聞かず、独断で店を決めてしまう。
当日は自分の話ばかりで、参加者が置いてけぼりになる。
これでは“幹事のための宴会”です。
もっと軽度でも、気配り不足は目立ちます。
ネットで適当に店を選ぶだけ。
事前に下見をしていない。
行ってみたら窮屈な席、隣のテーブルと近すぎて落ち着かない。
足の悪い人がいるのに座敷を予約している。
アレルギーがある人が食べられない料理を出してしまう。
注文を事前にしておらず、乾杯までに時間がかかる──。
こうした抜け漏れは、宴会幹事としては致命的です。
もちろん、プラス面も見えます。
メンバーの顔ぶれを見て、場が停滞しそうなら余興を用意する。
誕生日の人がいれば、さりげなくサプライズを準備する。
ゲストが来るなら、意味のある手土産を選ぶ。
こうした気くばりが自然にできる人は、リーダーの資質十分です。
これらはすべてホスピタリティの表れです。
私はホスピタリティを
「相手の期待を先回りして行動すること」
と定義しています。
リーダーにホスピタリティがあると、目配り・気くばりが行き届きます。
その結果、ミスコミュニケーションは減り、チームの感情は安定します。
逆に、組織感情が不安定だとどうなるか。
互いに様子見で動きが遅くなる。
派閥が生まれる。
陰口が横行し、心理的安全性が損なわれる。
当然、チームのパフォーマンスは落ちます。
「リーダーが自分たちを気にかけてくれている」。
そんなチームで働きたいと思うのは、自然なことです。
最後に、「ここで言うリーダーって課長クラス?」
と思われるかもしれません。
違います。ホスピタリティはトップにも不可欠です。
トップなら、利害関係者の期待を先読みし、自ら動くか、人を動かす。
これもまたホスピタリティです。
だからこそ、ホスピタリティは、
これからリーダーになる人すべてに必要な要素なのです。
おまけー1:かつて、ある会社の研修プログラムの打ち上げで中華料理店に行ったときのことです。
私たちのチームが店内の半分を占めていましたが、もう半分の予約席だけが、いつまで経っても埋まりません。
さすがに不審に思った店のスタッフが、予約した相手に電話をかけました。
すると──鳴り始めたのは、私たちの宴会幹事の携帯電話でした。
「もしもし、おきゃくさん、よやく、いつくるか?」(お店のスタッフ)
おまけー2:12月16日にはIndigoBlueの忘年会があり、今回は私が幹事です。
私が幹事になると「仕込みすぎ」になる傾向があるので注意したいと思っています。
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