Vol.797「患者が自分のカルテを持つ日」(メールマガジン「人事の目」より)

「患者が自分のカルテを持てるようにしたい。」

柴田塾の卒塾生であるOさんからプロジェクトの概要をお聞きしました。
とてもいい着眼点だと思いました。

“「ペイシェント イルネス ヒストリー」は、患者さんそのものであるカルテを自分で
記録し、保管するシステムです。患者さん自身が自分の治療や闘病を記録し、家族や
医療従事者と経過を共有できるようにすることで、納得して治療に向き合っていただく
ことをサポートします。”(Oさんのサイトから)

私は20年にわたり同じ会員制のクリニックを利用しています。いわば主治医です。
ここには私の20年にわたる診断・治療データがあります。いまでも4カ月に一度程度の
ペースで定期健診に出かけています。毎回、データの推移から身体の変調を予測して
本格的な病にならないようにアドバイスをもらっています。

ただし、ちょっと具合が悪くなったときに診てもらった自宅近くのクリニックの診断情報や
処方歴は統合されていません。数年前に胆石発作で救急病院にかつぎこまれて入院した
情報も統合されていません。

しかし、これは“まし”な方だと思います。それこそ、いろいろなクリニックで
診断してもらい、それぞれのクリニックにカルテとして治療歴が分散している。
これが多くの人の現実です。

治療歴、既往症歴を患者本人の立場から一元管理してある仕組みがあると医者と患者の
対話の精度が劇的に向上すると思います。その日に聞いた問診内容からだけ判断するのでなく、
履歴がわかるので、短時間でより正確な診断につながるはずです。

「結局、医師はなんと言っていて、これからどうなるの?」

こういう質問の答えに窮することがあると思います。医療機関で“それらしい”話を
聞かされて、なんとなく納得して帰宅。あとあと考えたときにフォローしてきれていない
ことに気づきます。医者との対話時間が限られている(医者が忙しい)ため、または
一方的に専門用語で説明されるために、自分が完全に理解できるまで確認できないのが
現実です。確認しようにもカルテは医療機関に保管されているので患者はアクセスできません。
自分自身の情報にもかかわらずです。

Oさんが考える「ペイシェント イルネス ヒストリー」はこうした患者の現実を改善しよう
というものです。

最大の課題はインプットです。医者との会話をどれだけ正確かつ網羅的に入力するかです。
これについては文字入力だけでなく、音声でも入力できる仕組みを考えているそうです。
医者との会話を録音入力することも可能とのこと。

例えば、癌と宣告されたときには、おそらく担当医の話だけでなく、それこそいろいろな
文献などから情報を得ようとするはずです。ただ、それは一般情報です。病気は十人十色、
状況が異なります。この「ペイシェント・イルネス・ヒストリー」があれば、その内容を
もってセカンドオピニオンを得ることもできるだろうと思いました。

この仕組みですが、クラウドファンディングにより実現化させたいとのこと。“教え子”の
想いの実現に向けて私も微力ながらサポートさせていただきました。過去にもReadyforを
通じて知人、“教え子”がチャレンジしてきました。Oさんの想いも結実するといいなと
思っています。

https://readyfor.jp/projects/PatientIllnessHistory


おまけー1:コロナ禍の影響で延期となっておりました「六本木アカデミーヒルズ主催
“上司の当たり前をやめなさい”発刊記念講演会」を6月29日(月)の19時から、Zoomで
開催することになりました。今回は希望者全員参加できるようです。申し込み方法など
詳細は来週のメルマガで!

おまけー2:朝のジョギング中、10センチくらいの毛虫が自動車道に向かって進んでいましたので、
反対の森向きに変えておきました。一応、恩返しはいらないと念じておきました。

おまけー3:が、その日の夕方、自宅近くのコンビニで「落としましたよ」と
1,000円渡してくれた人が超毛深い男性でした!

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