920号「リーダーとして大成しそう? 素晴らしいスタッフになりそう?」(メールマガジン「人事の目」より)

次世代の経営者候補とされる方々の発掘、育成、評価に関わっています。通算で20年ほどこの仕事に携わり、日系、外資系、オーナー系の多くの“優秀な”方々にお会いしてきました。過去に関わった方々の多くが、その後要職に就かれているのは嬉しい限りです。

この候補者の中には、“リーダーとして大成しそう”な人財と“素晴らしいスタッフになりそう”な人財が混在しています。それでいいのです。“優秀”な人財であれば、その両方の素養を持ち合わせているのが普通です。

CEOやCOO(ビジネス責任者を含む)は「指針を決める」「組織を動かし実行する」、この2点が主たる役割です。一方でCXOは「状況を適切に理解」し、CEOやCOOの意思決定のために「選択肢を多く挙げる」ことがその役割です。前者が“リーダー”、後者が“スタッフ”ということになります。

この役割を意識してトップマネジメントチームを組成するのが望ましいと考えます。以下の図は私が考える標準的なトップマネジメントチームの構成とその役割を果たすために求められる「力」です。










“優秀”な人財であればリーダー的要素もスタッフ的要素も高いレベルで持ち合わせているものですが、最終的にリーダーを目指してもらった方がいい人とスタッフを目指してもらった方がいい人を見極める方法があります。複雑なテーマで議論をしてみてください。議論の場での言動、様子からその人の“最”適性が見えます。

スタッフ系の人は自分で考え、その案を提案するのが上手です。リーダー系の人は自分の考えはあるものの多様な意見を聞き、それを統合した案を展開するのが得意です。

特定のテーマの深堀り、ロジックの構築はスタッフがお手のもの。これに対して、リーダー系の人は臨機応変な対応と周囲の感情の機微をとらえるのが得意です。

注意すべきことがあります。現職のトップマネジメントチームの人が後継者候補を選ぶ際に、“自分がリーダーのときに貢献度が高かった人を選びがちです。そうなると、スタッフ系が強い人が選ばれやすくなります。

優秀なCXOがいるから意思決定のレベルが上がります。優秀なスタッフを確保することは企業の進化・成長のために重要なのですが、優秀なリーダーも併せて選んでおきませんと、”議論ばかりして進まない“チームになってしまいます。

候補者として挙げている顔ぶれを見てください。スタッフ系人財に偏っているようであれば、“上の言うことを素直に聞かないが、人の気持ちを理解し人心を捉えている”人を発掘してみてください。


おまけー1:知人の渡部建さんが「超一流の会話力」という本を出版しました。一気に読める、わかりやすい本です。(渡部さんというと例の問題を思い出して眉を顰める人も少なくないと思いますが、過ちを認め反省し頑張っている人を応援したいと思っています。)
https://www.kizuna-pub.jp/book/2245/

おまけー2:社外取締役を務める某社を訪問。
車でゲートを通過する際に警備員さんが駆け寄ってきました。

「県警の方ですね。ご苦労さまです!」
(ん?刑事に見えた?)

おまけー3:某空港のタリーズにて。コントなおっさんを目撃。
カウンターに出されたコーヒーを勢いよく持ち上げ「あちっ!」。
手を拭こうとしてカップが傾き腿にコーヒーが。「あちっ!」。
席に座ったときに鞄の肩紐がコーヒーに接触。カップが倒れる。「あっ!」
(これ知らないおっさんのことでも笑うわ。マスクしていて良かった。)

 

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