先週号で「成長は自己責任であることを新人に伝えてほしい」と書きました。この対となるメッセージを2月22日の日経産業のコラム(Smart times)に書きました。タイトルは「新人の扱い方」。「部下」という名称を止めてはどうか。上とか下という意識が上には過度の責任感からくるコントロール、下には甘えを生んでいるという趣旨です。
(こちらもぜひご覧ください)
https://www.nikkei.com/nkd/theme/1691/news/?DisplayType=1&ng=DGXZQOUC145RE014022023000000
さて、この1月より5,000人を超える某組織の改革推進アドバイザーを務めています。20年ほど前、現在のトップとこの組織の改革でご一緒した経緯あり。昨年末に改めてこのトップから直接ご依頼いただき、二つ返事でお引き受けしました。
“改革は辺境の地から”。改革推進の原則です。なんだかわからないけど、あそこ変だよね、と思っていたら周囲も変わっていた、というやり方です。本家本丸からやろうとすると、抵抗勢力が多く進まないことから、改革にあたってはこの外堀を埋める方式が一般的には推奨されています。
この組織では「本家本丸」からやることにしました。その理由は「改革疲れ」です。過去に改革の狼煙があがり、具体的な改革提案が作られたにもかかわらず“動かなかった”ということが何度かあったからです。
これはこの組織に限ったことではありません。ブームに乗るかのごとく改革の狼煙が上がり、そのたびに盛り上がるのですが、結局“動かなかった”という経験をしている組織も少なくないでしょう。トップが変わるごとに新たな狼煙が上がることもよくある話です。
それぞれ改革に着手すべき背景と動機があるのですが、結局“動かない”。これを何度か経験している組織にはオーソドックスな改革手法は効きません。改革の狼煙を上げても「またか」という反応になります。(かつて某企業で「またか」をもじって「かまた」というプロジェクト名にしたこともありました。)
改革を推進する際に最も重要なことは「改革を自分事にする人」をどれだけ増やせるか、です。トップだけではもちろんダメ。中堅・若手層からの提案だけでもダメ。組織全体のあらゆる層に「自分事にしている人」が生まれること。最低でも関係者の20%。これが改革成就の基本条件となります。
「自分事」になるのは、そこに自分の“主体”があること、加えて、その改革が自分にとって意味があることが条件となります。その改革の目指す姿、進め方等について発言できること。これが主体性を生む大原則です。自分にとっての意味はなんでもいいのです。改革を推進することが自分の望みであると思えるかどうか、です。望みは合理的なことと感情的なことがあります。改革の推進とその成果を考える際はこの「理と情」の両面を押さえておく必要があります。
忘れてはいけないの「現状の守り人」の心情を受け入れること。改革の理念は理解するものの、現実がある。すぐには変えられない。現体制のキーパーソンの多くがそう思います。抵抗勢力には事情あり。どんなに問題があろうとも、現状があるから今があり、未来があります。現体制の守り人を軽んじてはいけません。
最後に、改革案を実現しようとしたら、組織体制、人事を思い切って変える必要があります。改革に向けた想いがいかに強くとも、体制、人事を変えておかないと組織に弾性が働き、いつのまにか“動かなく”なります。カタチを変える。改革を成就させるためには欠かせません。
その他、「トップのコミットと我慢」、「改革の可視化」、「後にはひけない環境づくり」、「第三者の有効活用」などのポイントがあります。これらについては機会を見つけて書きますね。
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