Vol.750 「過去に答えなし。どうする?上司!」(メールマガジン「人事の目」より)

組織における「上司」の位置づけ。これが明らかに変わりつつあります。

上司とは、その字のとおり、「上の位」のエライ人でした。エライ人なので、
部下としては仕事のご指示を賜り、何かあるとご判断を委ね、自分の評価、
育成をしていただく。それが上司の位置づけでした。三歩下がって師の影を踏まず。
そんな気配すらありました。特に“昭和の労働現場”ではそれが徹底されていたように
思います。

仕事の指示についてもそうです。直属上司から全ての仕事の指示がくるのが当たり前でした。
かつては別の部署から仕事の依頼をしようとしても、直属のエライ人から“勝手に使うな!”
と怒られるのがオチでした。

この「エライ人上司」の前提になっているのが、「上司」は部下よりも全ての面で優れて
いるという“幻想”です。仕事も人間としても「上司」の方が優れている。だから、
ご指示、ご判断、評価・育成をお願いする、というわけです。

うむむ・・・と思われる方が多いと思います。「上司」の方が全ての面で優れている?
そんなことはないだろう。優れている点があることは認めるが、全てと言われると
反論したくなる。それが本音でしょう。上司にしてみてもそうです。“全ての面で
部下より優れているべき”と言われても、そんなの無理だと思うでしょう。
しかしながら、多くの人事制度がこの“幻想”に基づいて設計されています。
管理職となると、自分のことは棚に上げて、評価や、評価面談、育成指導をしろ、
と言われるのはそのせいです。

自社のやり方に精通し、かつその仕事の経験が豊富。これが適切な判断および優れた
パフォーマンスにつながるのであれば、「上司」はエライ人として君臨すべきです。
その神通力を行使することが会社の業績にも、部下の育成にも直結しますので。
しかし、その神通力は平成31年の間にかなり弱まりました。令和の時代を見通すと
どうにも怪しくなってきています。

その最大の理由は“これからの答えが過去にない”からです。過去とは全く異なる、
市場、顧客の価値観、労働環境の中で課題を見出し、解決策を考え実行するとなると、
「自社のやり方に精通」とか「その仕事の経験が豊富」ではなく、「未来志向の知見、
スキル、心のもちよう」が求められます。

そうなると、社歴や年齢に関係なく、それらを持ちわせた人がパフォーマンスを
上げるようになります。こういう人たちは「カイシャイン」ではなく、
「プロのビジネスマン」です。その会社の正社員である必要はありません。
仕事ができる人であれば雇用形態はなんでもいいのです。その上で、そういう人たちを
動かすことができる人間力ある人が「上司」となります。

その場合の「上司」は仕事のプロデューサーです。主たる仕事はキャスティングと
パフォーマンスの質的管理になります。指示命令ではなく。環境設定と動機づけです。
能力評価・育成ではなく、結果評価・報酬です。プロスポーツ、エンターテインメントの
世界ではすでもこれが当たり前になっています。ビジネスの世界でも働く人が
プロ化すると同じような仕組みになるのは当然です。プロがたくさんいる組織と
上司の指示を待って働くカイシャインの集団組織とでは、どちらがパフォーマンスを
上げられるかは問うまでもないですね。

この流れは止められないと思います。従来の人事制度のグレーディング的発想は
陳腐化します。見習い期間を終えたら、プロのビジネスパーソンとして登録され、
力がある人はどんどん仕事の依頼があり、報酬が上がります。そうでない人はそれに
相応な仕事環境、報酬になります。これが求められる人事制度になると思っています。
(ベーシックインカム的最低保障の議論とセットですが。)

こうした変化を先取りできるかどうか。歴史ある企業ほど問われています。

おまけー1:この変化と全く異なる時代観で凍結しているのが労働法です。
本当に何とかして欲しい。

おまけー2:“ディズニーの主要キャスト、ビッグ5を言え”と言われて、ミッキー、ミニー、
ドナルドダッグ、グーフィーまではわかりましたが、あと一人がどうしてもわかりませんでした。
(プーさん?スパイダーマン?)

おまけー3:電車の中で50代の大柄の男性がドーンと倒れました。その場での緊急診療のあと、
マッチョが軽々と抱えていきました。さすがマッチョ!こういうときには冷静な医療関係者と
マッチョです。

 

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