Vol.338 主体性集団へ

12月22日から2泊3日で「柴田塾」を開催しました。

参加者はいつもように厳選した15名。20代から60代までの幅広い年齢層で、
もちろん男性、女性あり。今回はそれに加えて、シンガポール、中国、
台湾からのMBA留学生あり。多様なメンバーで充実した3日間になりました。

塾の80%はグループによるワークショップ。その中でも最終日に
プレゼンテーションする課題については、20時間近いグループワークになります。

参加者の一人が最後の振り返りで、こうコメントしました。

「このメンバーで仕事したら、とってもいい仕事ができそうだ。」

そうなのです。柴田塾をやるといつもそう思います。
このメンバーで仕事をしたら、とってもいい仕事ができそうだと。

なにしろ、全員が主体性をもって動いています。
誰かの命令で動いているわけではありません。

意見の違いがあれば徹底的に議論します。お互いに主張し、妥協し、
前に進めていきます。わからないことがあれば、その場で質問します。
何しろ、わからないことをそのままにしていると貢献できなくなります。

参加メンバーの年齢、経験、スキル、国籍が異なるので、
自然に助け合いが生まれます。

課題は量的にも質的にも要求水準が高く、しかも時間の制約があります。
グループは5名から8名で構成。そうなりますと、全員が参加し、
それぞれが出来ることをやりませんとアウトプットが仕上がりません。

まさに全員が主体性を発揮する”全員参加”。
だからこそ、「このメンバーで仕事をしたら・・・」と感じるのだと思います。

現実の組織運営では、この「主体性」の濃淡に悩まされることが多いと思います。
全員が主体性をもって仕事に臨むなんていうのは夢のまた夢、かもしれません。

どこが違うのでしょうか。

塾に参加しているメンバーは全員なんらかの目的意識をもっています。
つまり、もともと意欲が高い。また、メンバー全員が何をいつまでに
仕上げなければならないかを理解し、必要な情報を共有しています。

メンバーそれぞれに得手不得手がありますが、そこに「あいつはデキナイ」的な
ネガティブな評価は生まれる余地がありません。相互に受け入れ、尊重しつつ
課題に取り組むことになります。

人数も少なすぎず多過ぎずというチーム構成です。

そこには誰かによって決められた上下関係がありません。リーダーという役割を
演ずるヒトは出ます。しかし、だからといって、そのリーダーの顔色を見たり、
リーダーに任せっきり、ということはありません。

現実の組織でこれを実現しようとすると、少なくとも以下のことをやらなければなりません。

‐意欲がないヒトはメンバーに入れない
‐チーム構成は多過ぎず、少な過ぎない
‐情報と課題を関係者全員で完全に共有する
‐関係者以外の誰かが決めたルールで評価しない
‐役割もチームの中で自発的に決めさせる
‐時間の使い方、課題の取り組み方はチームで決める
‐課題に取り組む前に「時間を共有」して相互理解を深める
‐課題を終えた時点でチームを解散する

いわゆる管理型の人事・組織運営の発想からすると「無理」かもしれません。
しかし、逆に言えば、これを実現するような仕組みにすればいいのです。
報酬の決め方など考えなければならないことはありますが、デキナイ話ではないと思います。

ウチの会社をそうしたい、というチャレンジャー経営者の方へ。
一緒に実現しましょう。目指すは「主体性集団」です。

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おまけ‐1:「お釣りいいですか?」 タクシーでこのパターン、初めてです。
しかし、そう言われると、たかが90円。ダメとは言いにくい・・・

おまけ‐2:味噌をすりこんだアツアツのおにぎり。昔、母親がよくつくってくれました。
銀座のとある寿司屋で似たものをいただきました。やっぱり、美味しい。

おまけ‐3:「主体性」は私の強みでもあり、弱みでもあります。
何に対しても「主体性」を発揮しようとしてしまう(笑)ので、時に失敗も。
「主体性の発揮が期待されていない」こともあることをついつい忘れてしまいます。

ある案件で、表面的な主体性は期待されていても、実態は違うことを実感。
時間は有限。求められるところで「主体性」を思う存分発揮することにしました。

本年もご愛読ありがとうございました。2010年の「人事の目」はこれでおしまいです。
良いお年をお迎えください。


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