Vol.349 Under controlへ

宇部山口へ向かう飛行機の中で書いています。
これから東北関東大震災津波で亡くなられたHさんの葬儀に参列します。

Hさんは35歳。私が応援している会社で、今後が期待される中堅社員でした。
同社で開催した「柴田塾」仙台版にいち早く参加。その後も各地での
さまざまな試みに積極的に協力してくれました。これから私に近いところで
仕事をしてもらおうかと考えていた矢先の悲報。言葉がありません。

先週はいろいろなところで同じメッセージを発していました。

我々がやるべきことは、被災者を悼み復興のためにできることをやること、
同時にビジネスを一日も早く正常化すること。この2つです。

余震が続き、停電、おまけに放射性物質の拡散の恐れなど、まだまだ落ち着きません。
平時のようにビジネスをするのは現実的には無理です。
但し、私が考える”正常化”というのは、そういうことではありません。
「Under control」ということです。

次々に起こる事象への対応に専心する。
これはこれで必要、しかし、これだけなのは、そろそろ止めましょう。
余震もあるだろう、計画停電も続くだろう、物流網も障害が残るだろう・・・、
こうした事態を織り込んだ動き方を定め、粛々と前に進む、ということです。
リーダーがそう気持ちを切り替えるだけで、Out of control からUnder controlになります。

できるだけの節電、省力化には努める。但し、必要以上の自粛はしない。
進め方や時間軸は変わるかもしれませんが、やろうとしていたことはやる。
リーダーたちは不安に負けてはいけません。

情報が錯綜したり、思ったように物事が進まなかったり・・・。
だからと言って感情を爆発させたり、誰かを非難しても始まりません。
みな出来る限りのことをしているのです。
こんなときに力を抜くやつは多くはいません。仲間を信じましょう。

混乱に乗じて悪事を働くやつやサボるやつはいるでしょう。しかし、少数のはず。
この少数のために、全ての仲間を信じないような施策はNGです。

非常時だから権限を本社に集中してなんでもかんでも本部で決める・・・
これは私が考える「Under control」ではありません。

これは現場から離れた「会議室の発想」です。こんなときは逆です。現場に権限を委譲して、
困っているところが自ら判断して、できることを遅滞なく進められるようにすべきです。

現場では判断できないだろうと思うのは現場を馬鹿にしています。現場を信じましょう。
確かに現場だけではできないことがあるでしょう。それは本社に相談してもらえばいい。
おそらく、意思決定の90%は現場で判断して進めることができるのではないでしょうか。

現場がそれぞれに進めることで混乱が生じる可能性もあります。これを防ぐのが
情報の一元的な可視化です。本社はこのハブになればよいのです。

事態を織り込み、権限移譲と情報の一元化を冷静に進める。これがUnder controlです。

今回の非常事態への対応を通じて、現場が自ら判断して動く力が備わるはずです。
これを将来に向けた大きな糧にしましょう。

震災により、私がやろうとしていたことにも影響が出ています。
早稲田塾さんと共同でこの5月から始める予定にしていた大学生向けのマネジメントスクール(MIRAIBA Biz・tainment)を半年繰り延べることにしました。
ご案内、場所の調整に大幅な見直しが必要になったからです。

しかし、この繰り延べ期間を活用して、”体験版”を10回くらいやることにしました。
これまで、世の中にないサービスを提供することになるので、
まずは体験してもらう機会を増やし、このプログラムを知ってもらうこと、
またはプログラムの改善に向けたヒントを得たいと思っています。

被災地、被災者のみなさんの心中を推し量ると、軽々に「前向きでいこう」とは言えません。
が、過去は変えられませんが、未来を創ることはできます。
未来を創るための”計画”を始めましょう。

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おまけー1:大規模な停電が予想される・・というアナウンスがされた日、
「大岡山」駅ホームで2時間すし詰め状態になりました。
乗換電車の本数の相互バランスが悪く、ホーム上でヒトが溢れました。
出るにも出れず、という状況でした。

途中、回送列車(ガラガラですね)がホームに入ってきたときに
「乗せろ―!」と騒いだヒトが一人も出なかったのは素晴らしい!
こういう自制心は本当に日本人の強みですね。

おまけー2:先日入ったとあるスーパー。レジは全て、インド系、中国系の女性です。

「オキャクサマ、パンハヒトリフタツマデ」

私の前にいた超買占め系のおばはんが注意されました。

しかし、そのおばはん反抗します。「え?」とレジの女性をギロリ。
しかし、それに怯まず「フタツマデ」。

さらに食い下がるおばはん。「なんでっ?」

これに外人の強み発揮。「フタツマデ、ツタツマデ、パン、パン・・パン」
「わ、わかりました・・・」

すぐ後ろにいた私は心の中で喝采!
次にこのレジのインド系の女性が私の方を向いて
「オキャクサン、ノミモノハヒトリニホンマデ」
(げっ!、しまった。ドリンク剤も飲み物にカウントされたー)

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