ご存じのとおり、12月1日付で労働安全衛生法が改正されました。従業員50名以上の
事業所にストレスチェックが義務化されました。労働者側には受検の義務がない
ということなので、忙しい人や問題がない人は受検しないでしょうが、
“メンタルに影響が出ているが職場で言いだせない”、こういう人にとっては朗報です。
このストレスチェック、「一億総活躍社会」と同じ文脈だと思います。
“厚生労働省によると、自殺やうつによる経済的損失は、2009年で約2.7兆円。
2014年の自殺者は2万5427人で、うち2227人が勤務問題を苦に命を絶った。
職場におけるメンタルヘルスの改善が、喫緊の課題であることは間違いない。”
(東洋経済オンライン“義務化された「ストレスチェック」とは何か?より)
人口が減っている日本においては一人ひとりが重要な資源です。ところが勤務問題で
命を絶つ人が2,000人以上いるとなりますと、なんとかしないといけません。
ストレスは万病の源。ストレスとどう向き合うか。
私はストレス耐性を「対人ストレス」と「対課題ストレス」に分けて考えています。
対人ストレスとは人間関係から生じるストレスです。対課題ストレスとは仕事量と
時間から生じるストレスのことです。
かつてホテルで働いていたときに以下の現象を目にしました。
かんかんに怒っているお客様に対応しているときに、対人ストレスに弱い人は
そのお客様から逃げたいばかりに、できないことも“できる”と言ってしまう。
一方で、対課題ストレスが弱い人は、そのお客様から求められている事柄そのものに
参ってしまい、中にはできることもあるのに“できない”と言ってしまう・・・
その後、さまざまな会社や局面で高いストレス下で仕事をしてきましたが、
この2大ストレス耐性を意識してメンバーに役割を割り振るようにしてきました。
対人ストレスも対課題ストレスも弱い人、その両方に強い人がいます。
この違いは“余裕のありなし”です。ストレスに弱い人はすぐに“いっぱいいっぱい”に
なってしまいます。平時にいくら仕事ができても、ストレスに弱い人をリーダーに
してしまうと、ストレス下に置かれたときに、フリーズして動けなくなってしまうか、
自分のストレスを周囲に発散してしまいます。チームはひどいことになります。
誰かを影響力あるポジションに就けるときには、その人のストレス耐性を確認しましょう。
余裕がある人の“余裕”はどこから生まれてきているのか。またはどうすれば、
その余裕をもつことができるのか。私はこう考えています。
生真面目な人ほど思いつめてしまう、といいます。生真面目というのは、どんな場面でも
“素の自分”で対応しているからそうなります。余裕がある人は違います。
“役割を演じている自分”で対応しています。
素”の自分でやっているとダメージが大きすぎることであっても、“役割を演じている”
自分であれば、その役割へのダメだしと捉えて、自分で修正を図ることができます。
演じているといっても、真剣にその役に“なりきっている”ことが必要です。
そうでないと高い次元の仕事はできませんし、パフォーマンスも上がりません。
役割を全うするために“なりきる”。心理学的に「メタ認知能力」と言われているものです。
この力を鍛える上でもOT(体験型ケーススタディ)は有効です。有事に面した会社の
幹部の“役”を1日から3日、演ずることになりますので、実体験できるわけです。
OTを3年連続して受講して(もちろん異なる演目ですが)飛躍的に伸びた若者がいます。
当初はストレスに面すると“逃げる”“あきらめる”姿勢が見られましたが、自分の
この傾向を認識した上で別の自分になりきることができるようになりました。
今後が楽しみです。
おまけ:ネットで見かけたおもしろいやりとり。
「どんな病気でも5,000円で治療します。もし、治らなかったら10,000円差し上げます」
という貼り紙のクリニック。
これを見かけた男が10,000円をもらおうとクリニックを訪ねます。
「先生、わたしは味覚を失ってしまったようです。・・・治りますか?」
するとその医者が「そうですか、ではこれを飲んでみてください。」
と小さなコップを差し出しました。
「ひどい!これはガソリンじゃないですか!」
「おめでとうございます! 味覚は正常です!」
数日して、その男がクリニックを再訪します。
「先生、わたしは記憶喪失になってしまったようです。・・・治りますか?」
するとその医者が「そうですか、それは大変です。こちらを飲んでみてください。」
と小さなコップを差し出しました。
「ひどい!またガソリンじゃないですか!」
「おめでとうございます! 記憶を取り戻しました!」