(前編のおさらい)
「例外」が例外でなくなる、ということはよくあります。・・・気づいてみたら
例外の方が普通になってきたというのがそれです。この状態にあるのが「人事制度」
だと思います。
・・・大企業で採用されている人事制度が人の成長や会社を成長させることを目的とした
人事制度ではありません。事業戦略は反映されていません。・・・
“人事制度が邪魔をしている”という声をよく聞きます。
副業解禁は劇薬です。「資格制度」を崩壊させると思います。社内での昇格や昇進は
“どうでもいいこと”になっていきます。しかし、この動きは止められないと思います・・・
(ここから中編です)
副業解禁により、会社と社員の関係がいよいよ変わります。“雇ってやる”ではなく、
“働いていただく”になります。社内での経験を積み重ねた後にポストに就くという
運用では真に実力のある人が辞めます。その役割を担うに最適な人がポストに就くことに
なるでしょう。
「部長」というポジション。かつては部の中で年次が古く、経験を積んだ人がその役割は
担っているのが普通でした。10年くらい前からこれは崩れています。最近、大企業で
幹部クラスを外部から採用し始めています。某企業で先端技術系の業務の部長という
名刺を現役の大学生が持っていました。現時点では極めて「例外」ですが、そのうち、
これが「例外」ではなくなるでしょう。
私自身、同時に複数の会社・団体で複数の役割を担っていますが、正業・副業という
感覚がありません。強いて言うなら全部「正業」です。
副業解禁で活躍するような人は同じ感覚だと思います。
そういう時代になったときの人事制度のフレーム(枠組み)ですが、
私はこのようにその概要を想像(創造)しています。
・全社員(正社員、契約、業務委託、パート関係なく)が、本籍たる専門性をもっている
・この専門性は「営業・マーケティング」「製造」「研究開発」「マネジメント」「サポート」等の
大くくりです(ちなみに、この専門性グループのことをJob familyといいます)
・それぞれのJob familyの中で、現在の力量を毎年ランキングします(テニスのランキング
みたいなものです)このランキングに基づき、「基本報酬」と「時給」が決まります
・基本報酬はJob familyごとに相場を意識して決めます
・ランキングは実績に基づき、それぞれのJob familyの“親方”たちが決めます
・Job family間の受け入れ、社外からの採用等もJob familyごとの“親方”たちが決めます
・評価制度はありません(ランキングがすべてです)
・原則として全員有期雇用です(1年から5年)
・NDAを締結した上で“副業”はもちろんOKです
・タスク管理、コスト管理、契約管理、ピープルマネジメントはJob familyが「マネジメント」の
人が担います
・秘書業務、庶務総務業務は「サポート」の人が担います
・個々のスキルや専門性を高めるためのナレッジシェア、トレーニングプログラムが用意されています
・チーム力を高めるためのイベント、プログラムが定期的に行われています
・新卒一括採用はやっていません。ただし、インターンを多く受け入れています
・法定外の福利厚生はカフェテリア方式でメニューを選べます
・年金は確定拠出型です
・ボーナスの一部は第二退職金に繰り延べることができる仕組みがあります
数年前にとある企業の人事制度の抜本改革でこのJob familyの考え方を導入しました。
まだまだ「例外」でしょうが、今後は時間の問題。それが当たり前になっていくのではないか、
と思っています。
企業側がこのように変わると、大学を頂点とする教育制度も変わるはずです。大学が入口管理
(入試優先)から出口管理(認定されないと出れない)に変わると高校以下もかなり変わる
はずです。また、社会人大学生も増えるはずです。
(後編に続く)
おまけー1:とある方の還暦祝いのサプライズ企画でちょっとした“フラッシュモブ”をやりました。
プロのミュージカル俳優を含め、忙しい面々がこの企画のための稽古にも参加。前日には
テレビ会議システムを使いながら夜にIndigoblueのオフィスで稽古。すべてはこの方の人徳。
お祝いしたいという気持ちが原動力になります。
おまけー2:大阪の常宿で「金の斧、銀の斧」を試されました。
“柴田さま、前回ご宿泊のときに、こちらの時計をお忘れではないですか?”
超豪華な時計です。(ここでそうです言うたら、その時計は僕のもんや:なぜか関西弁)
“・・・違います。”
マネジャーと思しき男性が横から、“前回お泊りのお部屋から出てきたのですが・・・、
見覚えありませんか?”
(うむむ、あ、そうや、それ、わしんや、と言うたら、その時計は僕のもんや・・)
“いや、違います。”
翌日、そのホテルのレストランで会計のときです。
“あの、このペンをお席にお忘れではないですか?”