812号「経験を学びとして活かすために」(メールマガジン「人事の目」より)


経験に勝る学びなし。感情の揺らぎがない学びは忘れます。経験は少なからず感情の動きを伴います。感情がその学びを自分に刻み込むのだろうと思います。失敗体験や挫折体験を忘れないのはそのせいです。

経験を学びとして活かす。それができると仕事の幅が広がります。仕事の幅が広がると視界が広がり、係わる人も多岐にわたるようになり、自分の可能性がどんどん広がっていきます。自分の可能性(伸びしろ)を感じる限り、人は老衰しません。尊敬する高齢の先輩方をみるにそう思います。

次回はもっといいやり方にしよう、もっといいアウトプットにしよう、と考える。これは学びというよりもブラッシュアップです。ある意味で当たり前です。そういうことではありません。特定の経験を抽象化して、他のことに適用させる。それが経験を学びとして活かすということです。

抽象化とは“要はそういうことか”と腹落ちするプロセスのことです。そのプロセスなしに事象だけマスターしていると他のことに応用できません。例えば、テニスやゴルフのコーチの言う通りに身体を動かしたところで、その場はできたとしても、再現性もありませんし、一向に上達しません。ただ、“あ、そういうことか”と気づけば、それを自分なりの形にして一気に上達すると聞いたことがあります。

自分の経験を活かすのが一番なのですが、他の方の経験も有効です。私は自分の専門分野ではない人の経験談を聞くことをお薦めしています。

自分の専門分野の人の話ですと、心のどこかで“自分との比較、専門性のバトル”をしがちです。“そのやり方は今では通用しない”、“自分のアプローチの方が使える”など・・・。これでは素直に学ぶことができません。自分の専門性とは全く関係のない人の話を理解しようとすると、最初から抽象化して聞かざるを得ません。それがいいのです。

社会人になって間もないころ、ホテルの宴会場でウエイターとして働いていましたが、当時、ロータリークラブ、ライオンズクラブ、某情勢研究会などを担当することが多く、多種多様なゲストスピーカーのお話を聞く機会に恵まれました。役得でした。記憶に残っているのが、当時“浪人”だった星野仙一さんのお話しです。星野さんの人心掌握術を聞き、野球の世界の話だけの話じゃないなあと思ったことを覚えています。

“必要は実装の母。”という言葉をある方から聞きました。経験を学びとして活かしていかないと立ち行かない環境にある人には不要ですが、幸か不幸か、そうではない環境にいる人には意図的に経験(気づき)を学びに生かす場をつくらないとその価値に気づきません。

自分の経験からの気づき、聞いた話からの気づき、これらを抽象化するのはスキルです。スキルということは反復練習によりそれなりに習得することできます。2年ほど前に「KIZMANA(キズマナ)」というWEBツールを作ってみました。気づきと学びからキズマナです。

3つの質問に答えてもらいます。

Q1:今週一番印象に残っている出来事は何ですか?
Q2::それは、あなたにとってどのような意味がありますか?
Q3:そこからの学びをどう活用しますか?

それぞれ最大400字程度で入力してもらいます。このプロセスを一定期間繰り返すことで、出来事(気づき)を抽象化し適用する思考パターンづくりに役立ててもらっています。


おまけー1:“あちらで見送りの方がいますねー。手をふりましょうー” とある観光系のバスでガイドさんが示した先にいたのはホームレスと思しき方々。すごくシュールな感じでした。

おまけー2:そのバスの中で“すみません。トイレは?”と尋ねた男性に「到着まで40分です。」とにこやかに答えるガイドさん、なかなかの強者。

おまけー3:「企業競争力を高めるこれからの人事の方向性」(労務行政研究所)で次世代育成について寄稿しました。AMAZONや書店でも購入できるみたいです。目次を見るになかなかのラインアップ。人事部として1冊お求めくださいまし。



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