仕事上で部下の対応に怒りを覚えたり、ガッカリすることがありますよね。
なぜ、すぐ動かない?
なぜ、返信してこない?
なぜ、そういう言い方をする?
役職者のストレスの8割はこれじゃないでしょうか。思ったように行動してくれない“その人”のことが、寝ても覚めても頭から消えません。当たり前の行動をとってくれないことへの疑問と怒りに心が乱されます。
ところがその相手はというと、こちらがどういう想いでいるかなどどこ吹く風。悪びれた様子もありません。その感じにストレスが倍増します。しかしながら、怒りをぶつけるわけにもいかず、イライラを隠して平然と接し、鬱屈した日々を過ごす。
こんな役職者が多いのではないでしょうか。私もこうした想いをたくさん経験してきましたから、よくわかります。ではどう対処すべきか。
まずは、期待そのものが“その人”に伝わっていない可能性を確認します。こっちはすぐに動いてほしいと思っていても、“すぐ”の感覚が人によって違います。「直ちに」と思っているあなたに対して、“その人”は「2,3日中に」と思っているかもしれません。メールやチャットは即レスだろう、と思っているあなたに対して、いったん考えてから返信するのが“その人”の普通かもしれません。
期待そのものをきちんと伝えていても、こちらの期待どおりに動いてくれない。いよいよどうするか。そんな場合の対処は「期待しない」。これに尽きます。期待するから期待が裏切られ心が乱されるのです。
”その人“がこちらの期待する行動をしてくれない。これには理由があります。あなたと「プライオリティが違う」のです。”その人“にやる気がないわけではありませんし、あなたと一緒に仕事をしたくないと思っているわけではありません。「プライオリティが違う」のです。
“その人”にとって重要かつ緊急度の高い仕事やプライベートの要件だけでなく、友人とのSNS対応、休息、眠気が、あなたの期待に応えるよりもプライオリティが高いのです。このプロジェクトのメンバーなんだから、社員なんだから・・・、ということでプライオリティを変えることを強制しても、それが“その人”の本意でない限り、変わるものではありません。
かつてはこう思っていました。“その人”が期待どおりに動けないのは「実力不足や思料不足」のせいだ、だから足りない部分を補強するサポートをすればいいと。違いますな。長年この手のことに対応してきて悟りました。「プライオリティ」です。
もし、プライオリティが高いが実力不足や思料不足により行動が伴わないとしたら、本人が努力するはずです。努力しても変化がない場合には本人から相談があるはずです。それがないのなら、そこまでの意識がないということ。プライオリティが違うのです。
役職者としては「期待する」のではなく、“その人”のプライオリティが自発的に変わるような行動をとるようにしましょう。例えば、本来、“その人”の仕事であるべきことを自分でやる(お願いしない)のです。“その人”に心あれば、“あのー、それ私やりましょうか。”と言ってくるはずです。そういう申し出があったら、それに対して感謝し、かつ、明日の3時までに対応してもらいたい、と具体的にお願いしてみましょう。
それでも変わらない場合には「本格的に期待しない=仕事を依頼しない/他の人にお願いする」と割り切るのが精神衛生上良いでしょう。小さな組織でお願いする他の人がいない、という場合でもこのやり方をお薦めします。仕事量が増えるのと、ストレスが増えるのでは前者の方がましだと私は思うので。
おまけー1:プライオリティの違いによるストレス。これは私生活の中でもありますね。
おまけー2:「輪るピングドラム」という漫画の影響を受けたという若者に連続して遭遇。気になって全5巻購入してみました。が、絵が少女漫画チックでおじさんの目にはきつい・・・
おまけー3:「聘珍楼」の閉店の報せを受けて、浅草橋ヤング用品店(TV東京)に出ていた金萬福さんのことを思い出しました・・・。
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