Vol.295 経営者になって学んだこと

秋らしい毎日ですね。朝、空を見上げると、とっても秋らしい雲模様です。
この秋の雲、7時半頃にはうっすらと消えてしまいます。
出勤時には足下ばかり眺めず、空を眺めてみてください。いい感じですよ。

この週末、軽井沢を日帰り訪問してきました。紅葉が始まっています。
今年こそ(と毎年思っていますが)せっかくの紅葉を見逃さないようにしたいものです。

さて、今日のテーマは「経営者になって学んだこと」です。

私はマーサーというコンサルティング会社に足掛け13年おりました。
その中で7年間は日本法人の社長でしたので、後半はコンサルタントというよりも
“経営者”としての時を過ごしたというのがキャリアの説明としては正しいと思います。

しかし、外資系企業の日本法人の社長はPL(損益計算書)だけ気にしていれば
よかったので、財務管理面では、経営者としては”不完全”だったと思います。

その後、キャドセンターというCGクリエーターの会社の社長を1年2ヶ月務めました。
ここは再生でしたので、事業面だけでなく、財務面についても相当介入しました。
外部の専門家と働くことも体験しましたし、金融機関の実態にも触れましたし、
まさに本格的な”経営者”の修行になりました。

で、CCCのCOO(最高執行責任者)になって1年4ヶ月です。

私のようなキャリアだと、コンサルタントと経営者の違いは何か?
という質問を受けることがよくあります。

この2つは似て非なるものです。相互補完関係にある、と言っても良いでしょう。
コンサルタントはあくまでも第三者として、冷静で客観的、かつ経済合理的な
アドバイスをするのが役目。経営者は実行責任を持った当事者です。
ここに大きな違いがあります。

ですから、コンサルタントとして優秀だから、どこどこの経営者に・・・
という単純な図式は当てはまらないと思います。参謀ならありですが。

当事者になって学んだことは、
“敢えて最善策をとらない”という判断をすることがある、

ということです。経営には合理性だけでは判断できないヒューマンな
部分があります。組織というまさにヒューマンな集団を率いて行うものですから、
考えてみれば当然のことですが、ここは、まさに経営の妙味です。

しかし、この妙味を外部のステークホルダー(株主、顧客、金融機関、取引先・・・)
に対しては説明可能にしておく必要があります。彼らにとっては”妙味”の背景など
ブラックボックスですし、関知することではありません。
説明を求めるのは当然のことです。
それに対応するのも経営者の仕事です。(結構たいへんですけどね。)

最善策をとらないときには、当然ながら”不完全な状態”を容認することになります。
コンサルタントの目線だと、”不完全な状態”を許容しつつ走るというのは、
いかにも気持ち悪い。しかし、経営者は、敢えて、この”気持ち悪さ”を
容認するわけです。しかも、その気持ち悪さを表に出さすに、
外部のステークホルダーに説明しなければなりません。

なんだか、経営者って”あいまい”だな、と思われるかもしれません。

しかし、そうなのです。”あいまいさ”を許容しながら、
説明可能(アカウンタブル)であること。
これが経営者に求められる大事な資質だと思います。
なにしろ、経営とは矛盾との戦い、矛盾をいかに自分の中に取り込むか、
ということですから。

加えて、当事者たる経営者に必要なことは、
“気になることはすぐに確認する”です。
それがネガティブなことであれば、なおそうです。
小さなことであっても、それは感覚として残ります。
靴の中の小さな石がゴマ粒程度でも気になるのと同じです。
だから、気になることがあったら、すぐに直接確認する。
そういう姿勢が必要です。

そうでないと、その気になることが、どんどん成長してココロの負担になります。
そうなると、あんな小さなことで組織が崩れた・・・ということになりかねません。
ここも、マーサーの社長から数えて、10年近く経営者という仕事をして学んだことです。
(痛い想いもしましたが。)

おまけ-1:ここのところ、ついておりません。

税務署からの”おたずね”はあるし、大事なものは無くすし・・・。うむむ。
これって何かのサイン?

おまけー2:モノがなくなるっているのは不思議ですよね。
空間には、メビウスの輪のようになっているところがあって、そこに落ちるとモノがなくなり、
そのうち突然出てくる、と何の根拠もない話をお芝居に書いたことがあります。

おまけー3:人生最もついていなかったのは1994年。
財布を2回盗まれ、自宅には泥棒、自動車にはねられる、突発性難聴で入院、
絶対あたっていると信じていた年末ジャンボ宝くしがなくなる・・・

それに比べると今回のは”たいしたことない”レベルです。

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