笑量が組織を強くする(メルマガ「人事の目」1058号)

組織力を強化する要素についてChatGPTに質問してみました。

“組織力は「明確な方向性 × 信頼関係 × 能力の活用 × 仕組み・文化」で生まれます。
どれか1つだけでなく、複合的に機能させることが重要です。“

その通りだと思います。その通りなのですが、いまいま組織力を強化させたいと思っているリーダーへの回答としては、やや高尚過ぎるかもしれません。現職のリーダーが欲しい回答はこちらですね。

“具体的に何をすべきか?”
“一人のチームリーダーとしてできることは何か?”

私が思うに、組織力を高めるために“すぐにできること”があります。それはチームの「笑量」を増やすことです。

会議というと、眉間にしわを寄せて厳しい話をする。こんな時代ではなくなりました。

“仕事なんだから我慢しろ”
“仕事中に笑うな”
“仕事に私情を持ち込むな”

私が社会人になったころ(40年ほど前)にはこの価値観でしたが、2025年のいま、こんな価値観を振りかざしている企業、団体には人が集まりません、選ばれるのは、いかに“働く”を楽しむか。この価値観です。

体験型ケーススタディ(Organization theater : OT)は会社が直面する有事を乗り越える疑似体験プログラムですが、パフォーマンスが良いチームからは“笑い”が絶えません。どんなに追い込まれても、うまくいかない状況に陥っても、そこには“笑い”があります。

ふざけているのではありません。不真面目でもありません。“笑う”ことで緊張、不安を解消し、チームの一体感を高めているのです。笑うことでネガティブなムードがポジティブに変換し、レジリエンスを高めているのです。

私自身、厳しいテーマで議論しなければならないときほど、議論を始める前のアイスブレークや議論が膠着したときの“笑い”を意識していました。たいていのケースでは誰かをいじる笑いでした。(チームに“いじれる”相手がいるのはありがたいことです。)

“笑量”が組織力を高める。このことを研究した人がいるのではないかと思い調べたところ、結構ありました。

「職場での笑いはストレス低減とチームの一体感を高める」 Cooper, C. D., & Sosik, J. J. (2012).
ユーモアや笑いの頻度が高い職場は、高品質な人間関係(High-Quality Connections)を生み出し、回復力(レジリエンス)を高める。

「笑いが創造性・問題解決能力を高める」Isen, A. M., Daubman, K. A., & Nowicki, G. P. (1987).ユーモアや笑いでポジティブ感情が喚起されると、創造性と柔軟な問題解決能力が向上する。これは直接的に組織の活性化(新しいアイディアの創出)に寄与する。

「“笑い”」の量が多い会議は協力関係を促進」Lehmann-Willenbrock, N., Allen, J. A., & Kauffeld, S. (2011). 会議中の笑いのエピソードが多いチームほど、その後の協力行動が増え、パフォーマンスが高くなる。

脳科学的にも「笑い」は「やる気」や前向きな行動を促すドーパミン、ストレス耐性を高めるセロトニン、鎮痛・多幸感をもたらし、苦痛を和らげるエンドルフィンが分泌されるそうです。

科学的にも実証されていますね。チームの「笑量」を増やすことを意識してみませんか。

おまけ:大阪行の新幹線の車内でのことです。
見たところ水商売系の兄貴と下っ端が、斜め前の座席に座っていました。

兄貴:ちょっと寝るから佐々木に電話して、
ちゃんと言っとけよ。
下っ端:わかりました。
(スマホで連絡先を探している模様。)
(兄貴は眠りへ。下っ端が座席から電話をかけました。)
(兄貴のスマホが鳴りだします)
兄貴・下っ端:もしもし。
兄貴:なんで俺にかけてんだよ。
下っ端:すみません!
兄貴:あと、車中で電話かけちゃダメだろ。
デッキでやれ、デッキで。
下っ端:すみません!わかりました。
(下っ端がデッキへ。再び眠りにつく兄貴)
(兄貴のスマホが鳴りだします。)
兄貴・下っ端:もしもし。




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