904号「”働く”を楽しむ(後編)」(メールマガジン「人事の目」より)

(先週からの続きです。まずは先週のサマリーから。)
多くのサラリーマンは用意された環境で、指示されたこと(だけ)を遂行する仕事の仕方を何十年もしてきます。結果として、サラリーマン歴が長くなればなるほど、ワクワクしながら自分のやりたい仕事をしている感はなくなり、“仕事=辛い”、“失業は困るが、できるだけ働きたくない”というマインドセットになりがちです。同時に“用意された環境でないと仕事ができない”という心理的なバリアに囚われることになります。

この状況に風穴を開けるのが副業です。副業機会を通じて、用意された環境以外で思い切り楽しく働く、そんな人が増えていくことを願います。ところが、その受け入れ先企業(主としてベンチャー)で副業者の評判が著しく悪いのです。以下、副業者の問題点についてのヒアリング結果です。

・タスクを一人で完結できない
・資料作成が遅い
・テンプレートがないと資料をつくれない
・メールやメモの文章が固い(心を通わせにくい)
・メンバー全員でのコミュニケーションが苦手(1対1で説明しないといけないので手間がかかる)
・指示待ち
・なんでも確認をとろうとする
・スピード感がない
・上から目線(本人にその気がないことはわかりますが)
・謎の自信(謙虚さがない)
・担当できる領域が狭い
・業務委託と雇用の違いがわかっていない(緊急時に連絡がとれない)

いずれも長い大企業暮らしで身についた悪癖です。ベンチャー側が期待する副業者は、自分たちと同じスピード感をもち、特定のタスクを任せられる人材、いわばプロです。ここに期待と実態のギャップがあります。

副業を紹介するサイトなどが乱立しつつあります。ただ、副業者の実力が追いついていないことから、このままでは副業者を受け入れることに二の足を踏む企業が増えてしまうと思います。

副業機会を通じて、“用意された環境で指示されたたこと(だけ)を遂行する心理的バリアから解放される。結果としていつでもどこでも“働く”を楽しむ人が増える。これが目指す姿だと思うのですが、副業者側に副業に出る前の訓練が必要だと痛感しました。

健康寿命120年時代に、自分の意思でいつまでも楽しく働けるようにポータブルスキルを磨き直し、心のもちょうをリセットする、これを御旗に、主としてアラフィフ以上を対象に昨年来PHAZEリカレントを開催しています。このプログラムの一部を活用しつつ、加えてベンチャーで働くことを念頭に置いたスキル講座、名づけて“副業の流儀”を設けてはどうかと思っています。プログラムはすべてOn demand。ただし、修了後に検定をします。検定の結果、合格であれば「副業の流儀をマスターした」として認定しようと思っています。(もう少し詳細が固まりましたら、発表します。)

ベンチャー経営者のみなさん、副業者に期待するスキル、心構えなどご意見ございましたら、このメルマガへの返信で構いません。お知らせください。


おまけー1:NHKの特番で大谷翔平さんが「楽しくプレーしたいなら努力しないといけない」という趣旨の発言を聞き、その通りだと思いました。“働く”を楽しむなら、日々努力。

おまけー2:どう考えても“欽ちゃん走り”の朝ラン女性あり。しかも速い。ちょっと真似してみたら、かなり息が切れました。(敢えて身体に負担をかける努力なのかもしれません。)

おまけー3:愛知芸術祭が始まりましたね。私も8月に観に行く予定にしています。楽しみ。
https://aichitriennale.jp/

 

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