11月7日・8日の2日間、東京都世田谷区のセミナーハウス フォーリッジにて「2035年の人事を考える会」を開催しました。定員12名の少人数制で、各業界から参加者が集まり、2日間にわたりじっくりと議論を深めました。
“企業は人なり”。この原則は普遍です。しかし、変化のスピードはかつてないほど速まり、そのダイナミクスも今後さらに高まることが予想されます。こうした状況の中で、組織・人事マネジメントにはどのような影響が及ぶのか、そしてどのような備えをしておくべきか・・・。人事担当者こそ、一度立ち止まり、視野を未来に向けて整理しておく必要があります。
とはいえ、日々の突発的な案件対応に追われ、長期的な視点で考える時間を持てないのも現実です。そこで、日常業務から離れ、他社の人事担当者とともに未来志向の議論ができる“オフサイトの場”をつくろうと考え、この会を企画しました。
今回のテーマの鍵となるのは「感受性」と「レジリエンス」。
変化を感じ取る力(感受性)と、変化にしなやかに対応し前進する力(レジリエンス)をどう再定義し、人事として実装していくか。まずはこの言葉の意味から問い直すところからスタートしました。
続いて、私から「今後、組織・人事マネジメントに影響を与える可能性のある12の不確実要素」を提示し、参加者一人ひとりが「最も影響が大きい」と考える5つを選びました。その中で上位に挙がったのが以下の5つです。
- AIの浸透
- 結婚・家庭・幸福観の多様化
- 少子高齢化の加速と労働力人口の縮小
- 心理的安全性と成果主義のバランスの変容
- 「正社員」概念の変質
次に、これらの要素をもとに3つのシナリオパターンを設定し、シナリオ分析に取り組みました。

シナリオ分析では、設定した2つの軸を掛け合わせることで4つの未来像を描き、その中で「最も起こり得るのはどの未来か」を議論しました。そして、その未来が実現した場合に、現行の人事・組織マネジメントにどのような影響が及ぶのかを洗い出していきました。
次のステップでは、洗い出された課題の中から、
事業へのインパクトが大きいもの
かつ、対応が難しいもの
を特定し、それにどう向き合い、どのように備えるべきかについて、具体的な施策や考え方にまで議論を深めていきます。
実はこのメルマガを書いているのは、初日・夜19時。まさに議論の真っ只中です。さて、どのような「備え」の姿が導かれるのでしょうか。
明日の10時半からは、設定した3つのシナリオそれぞれについて、「何に、どのように備えておくべきか」を参加者同士で共有し、議論を締めくくる予定です。
1997年には「2007年の人事を考える会」を企画しました。あれから28年。当時議論していた「副業」「リモートワーク」「40代役員」は、今や当たり前の現実となりました。今回の議論から見えてくる2035年の風景も、いつの日か現実になるのかもしれません。結果がどうなるか、今から楽しみです。
おまけー1:セミナーハウス フォーリッジは、2026年6月末をもって閉館(一般企業向けの研修施設としての運営は2026年3月末で終了する予定)というご案内をいただきました。思えば、1997年以降、いろいろな局面で利用させていただきました。感謝です。
おまけー2:都内の研修施設が次々に閉館となり、困っております。どこか、ありませんかね。
記事はメルマガ「人事の目」で配信されています。