Vol.365 トップが焦ると"アルマジロ"が増える

暑いですね。無理してスーツ着ていませんか?

先日お昼をご一緒した某金融コンサルティング会社の社長。
「仕事がら、スーツとネクタイはどうしても必須で・・・」と困った表情。
「もしかして、今年の夏はそれだとかえって評判悪くないですか?」と返したところ、
「そうかもしれません。空気読んでないって。(苦笑)」

結構、そういう方にお目にかかります。

まず、思い切って靴を変えてみるといいですよ。靴を変えると上も変えざるを得なくなります。

私のお気に入りは「PRANCERのスニーカー」。
超安価ですが、ちょっとおしゃれで履き心地よし。
http://www.perfect-s.com/products/detail.php?product_id=90010859

「変える」って大変ですよね。「変えたい」という思いはあっても、
なかなか目に見えて変わってこない。
実際にはちょっとずつ変わっているはずです。しかし、変化の中にいるとそれが見えません。
目に見えて変わる、ためには、本人がイメージしているスピードを超えた変化が必要です。
トップがイメージしている変化を超える変化・・・、これは相当な変化です。

トップというポジションにいると、他の役員、社員よりも危機感が強くなります。
“このままでは、先がない。今変えないと!”。トップという責任感がなせる業です。

それだけではありません。周囲にある情報の質が違います。
世の中の潮流と自社を冷静に見つめて、このままではマズイと分析しているわけです。
だからこそ、変えることについての焦燥感(あせり)が他の人たちよりも高いのです。

私自身、いろいろなところで”トップ”という役割を務めてきましたのでよくわかります。

だから、目に見える変化を求めたくなります。事実、それくらいのスピードで変わっていかないと、
来年はまだしも、10年後はない、という業態もたくさんあると思います。

ところが、現場が変わらない。少なくともトップからみると、変わっているように見えないわけです。
で、業績数値は、というと、じわじわ悪くなっている。ガターンと悪くなっているわけでないが、
対前年比を数年前から見ると、明らかに悪化している。
或いは競合に明らかに遅れをとっている・・・。
そういうデータを見るにつけ、トップは更に焦り、組織に檄を飛ばす。

よくある風景ですが、これは、うまくいかない”古典的”なパターンです。

檄を飛ばせば飛ばすほど、組織は”集団アルマジロ”化します。”そのうち、嵐は収まる・・・”。
背中を丸めて、”檄”という嵐が過ぎ去るのを待とうとします。本質的な課題はどこへやら。
頭では理解しているはずなのに、目先の痛みを逃れようとします。

危機感が足りない!と、首にすると叫んでみたり、給与カットや出張費のカットなどをやっても、
アルマジロはアルマジロのまま。トップのイライラ度はさらに高まり、幹部に当たり散らし、
幹部もできるだけトップに近づかないようになる・・・。

このパターンを至るところで目にしてきました。民間企業だけの話ではありません。
かつて某県庁の改革を支援することになったときも、同様の現象が起きていました。

「檄と危機感による攻め方は、組織内に”アルマジロ”を大量生産し、改革のスピードを落とす」

これが私のラーニングです。

で、どうすべきか。柴田の考えはこうです。

ビジョンを心底共有し、それに情熱をもって取り組んでくれるヒトだけを幹部に登用。
登用した幹部には徹底して権限を委譲。方向性と納期だけ確認。あとは任す。
その後、トップは幹部が仕事をしやすいように徹底的に支援する。

これだと思います。本当の幹部の登用と動機づけ。ここです。ここにエネルギーを注ぎましょう。

トップたりとて人間。こだわりたいディテールがあります。であれば、そのディテールの担当を
兼務して、直責任を負うようにしましょう。トップという役割をしながら、ディテールまで
“口出し”すると、直担当のパッションに水をかけるだけでなく、責任感を奪い去り、
ひいては成長の機会を奪います。幹部の動機づけの逆の動きになります。

だから我慢。

トップの重要な仕事の一つは「我慢」。この「我慢」が周囲からして、目に見えて変わってくると、
あれれ、という感じで周囲も変わってきます。
足元が変わるとその上の服装も変わらざるを得ないように。

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おまけー1:ガイガーカウンターを購入。レストランで披露していると、店の支配人が
「柴田さん、その数値、写真にとっていいですか?」と。
「ウチの店は安全です、ってホームページに載せたいから。」 
もちろん、そういう用途で世の中のために購入したのだー。

おまけー2:ジャケットを着ていないと、名刺入れ、スマホをいれておく
ポケットがないので困ります。タクシーを降りて、”あっ!iphone置いてきた!”
と焦って、領収書、領収書・・・。
さっきのタクシーに電話だー。

「もしもし、iphoneを、」とまで言ってから、そのiphoneで電話していることに気づき、
「いい運転でした。ありがとー」みたいな展開に。おしゃれな小物入れが欲しい。

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