人材育成の「70:20:10」をご存知ですか。
70%は「経験」、20%は「上司・同僚等とのやりとり」、そして10%が「研修」です。
人材育成を考える際には、この割合を意識せよ、というものです。
その通りだと思います。
育成プログラムの中心は「配置」です。一定期間内にどのような仕事を経験して
もらうか。経験を通じて、自分に欠けていることは何か、質的量的により高いパフォー
マンスを上げるために何が必要なのか、これらを自分で考え、必要なインプットを
「研修」を通じて得てもらう。この流れです。
本人が、“これを学びたい!”とその気になる。この意識があって初めて「研修」が
活きます。
あてがわれた「研修」を楽しんで受けるのは“勉強好き”だけです。しかも、それは
“勉強”として受けているので知識をインプットしているに過ぎません。使うことは
意識されていません。これだと実践面では役に立ちません。
「本人の気づき」→「学びたいから学ぶ(その気になる)」。
このプロセスが重要なのです。
私が体験型ケーススタディ(Organization Theater:OT)を考案したのは、これを
1日~3日のプログラムの中でなんとか実現したいと思ったからです。OTを通じて
参加者に気づきを得てもらい、本人の“その気モード”が開いているうちに、
個別のトレーニングメニューを提供。コーチが一定期間その進捗を確認していく
という流れにしました。
体験型ケーススタディには体験した人にしかわからない「感情の揺さぶり」があります。
この揺さぶりが気づきにつながります。
中にはプログラム参加中に自分を変えていく人がいます。こういう人はポテンシャルが
高いですね。環境に適応して、自分のあり方を変える術を心得ています。自分を変える
伸びしろがあるからこそできることです。
一般に、年齢が上がるにつれて変わるのに時間を要する人が増えていきます。自分の
「型」は成功体験の積み重ねにより形成されているからです。この「型」を変えるのは
たいへんです。しかし、まあ、そうであっても3日連続のOTに参加すると、たいていの
人が自分の「型」が壊れて何等かの気づきがあるようです。
稀に全く気づきを得ない人がいます。
自分の「型」、この場合「殻」と言った方が適切でしょうが、この「殻」が厚く、
そこから出てこないのです。
先日のOTでこのタイプに遭遇しました。彼は若いころから将来を嘱望されていた人材
だそうです。しかし、殻が強烈に硬くなっていました。頑固とかこだわりがあるという
のではありません。自分のスタイルを変えられないのです。そうなると、ここが彼の限界。
伸びしろはゼロ。聞くとエースであったが故に、ずっと同じ範疇の仕事をさせられてきた
ようです。環境変化が小さい中で20年やらせてしまった。そのせいです。
本人、変えないといけないと頭ではわかっていたようですが、行動することができません
でした。殻から出ることができなかったのです。
なぜ、殻の外に出ることができなかったのか。その深層にあるのが「傷つくことへの怖れ」
だと思います。殻の外に出てしまうと、自分でコントロールできない環境下になります。
どうなるかわからない。失敗するかもしれない。失敗したら自分が傷つく。怖い。
だから殻から出ない・・・。これです。
失敗して傷つく。いいじゃないですか。失敗して傷ついた方が気づきが大きくなります。
その傷は成長の原動力になるはずです。傷つくことを怖れて行動を起こさないでいると、
小さくまとまってしまいます。そのうち、伸びしろが枯渇して自分のキャパシティが
確定してしまいます。失敗による傷のかさぶたは勲章です。
おまけー1:先日、産業競争力会議で提言する機会がありましたが、その場の空気に
“世の中の縮図”を見た感がありました。
おまけー2:パス株式会社(私がCEOをやっているマザーズ上場の会社です)で、
人気女性雑誌「DRESS」の編集・出版を展開するgift社を子会社化しました。
http://www.pathway.co.jp/whatsnew/141127.pdf
メルマガ読者の方で「DRESS」を読まれたことがある方へ。
“どんな印象をお持ちか”、このメールへの返信で教えてください。
(感謝致します。)
おまけー3:リバーダンスが再来日するらしいです。楽しみ。