Vol.653 大企業のCSR

大企業のCSR(企業の社会的責任)について思うところがあります。

CSRとは、「企業が自社の利益を追求するだけでなく、自らの組織活動が社会へ与える影響に

責任をもち、あらゆるステークホルダー(利害関係者:消費者、取引関係先、投資家等、

及び社会全体)からの要求に対して適切な意思決定をすることを指す。」とWikipedia

にはあります。

多くの大企業がさまざまな社会的な催しや芸術への支援、環境問題への貢献等をしています。

素晴らしいと思います。私もその恩恵に与ったことがあります。

ただ、気になっていることがあるのです。

こうした素晴らしい活動の一方でこういうことがあります。

“うちと取引させてやっているのだから、全てのリスクはそちらで持て”

大企業の(CSR部門ではない)現場の担当者や総務/法務担当者に、取引先のベンチャー

中小企業に対して「仕事をさせてやっている」という姿勢を取る方がいます。あるいは、

会社としてそういう要請するのが当たり前になっていたりします。

これは大企業と取引をするベンチャー系の企業がよく感じていることです。

(Indigoblueもベンチャー企業の端くれですから、同様の体験をしたことがあります。)

私はベンチャー企業への支援はCSRの一環だと思っています。資金を出すということでは

ありません。良い商品・サービスを発見したら、その会社の規模、沿革に関わらず、

それを積極的に採用し、その普及を支援する。それがCSR活動になると思います。

これにより、新たな価値が生まれ消費者の利便性が向上し、同時に新たな経済循環が

生まれ、社会が豊かになります。そのベンチャー企業が成長すれば雇用も拡大します。

これらのきっかけを創ることは大いに社会に貢献する行為です。CSRの実行そのものだと

思います。

しかし、必ずしもそうではないのが現実です。大企業との取引では嫌な思いをさせられる

ことが少なくありません。

ある技術系ベンチャーの話です。その会社が開発した製品の独自性を評価した

大企業からの発注要請を受けたらしいのですが、こんなことを言われたそうです。

“おたくはいつ倒産するかわからないから、倒産したときにはコード(技術情報)を

全て無償で提供すると契約書に書いてください。それと、本件で損害が発生した場合に

備えて個人保証をしてください。”

頑張って素晴らしい製品を開発した会社をサポートするどころか、製品だけ搾取しようと

する態度が見え見えです。個人保証を求める姿勢には驚きます。

さらに別のベンチャー企業でこんな話もありました。

“(金曜日の夜に)月曜の出社までにお願いできるとありがたい”

“上に見せるので、今日の資料とは別にこういう資料をつくってください”

ベンチャー企業は人材が潤沢にいるわけではありません。自分で開発し、営業し、かつ

資料を作成し・・ということを眠る時間を削ってやっています。やることは満載です。

それを、自分が上に説明する資料をつくる手間を惜しんで(能力がない?)、

更に資料づくりをベンチャーに要請するのはいかがなものでしょうか。

さらには信じられないのですが、こんなこともよくあります。

“おたくには信用力がないので、値引きをしてください”

“今後のお取引もあるので/別の形でお付き合いできるので、値引きしてください”

“代金の振込手数料はそちら負担でお願いします”

“社内手続きが遅れたので支払いは来月でお願いします”

言うまでもなく、ベンチャーは資金繰りに四苦八苦しているところが殆どです。

値引き要請、振込手数料負担の要請、さらには簡単に支払を延ばしたりする、

これらは大企業としてはありえない要請だと思います。

この、“うちと取引させてやっているのだから、全てのリスクはそちらで持て”という

姿勢がどこかにある限り、その大企業は自分の利だけを追求していることが明らかです。

たとえ素晴らしい支援活動を行っていたとしても、こういう行為がありますと台無しです。

この他の大企業の担当者がよく言う言葉です。

“正式には聞いておりません”(途中で止められるための前口上)

経営者はこのことを知りません。多くの場合、担当者が自らの保身のために取引先に

必要以上に厳しくあたっているのです。折を見て、自社がどのような契約書を出している

のか確認されることをおススメします。これらの「大企業ならではの態度」がその会社の

評判を落としています。下請け法違反ではないから大丈夫、ではないのです。

いい仕事をしているベンチャー企業に遭遇したら、その企業が更に発展できるよう、

営業・金融支援をする。これこそが大企業が持つべきCSR精神ではないでしょうか。

おまけー1:小学生が横断歩道で手をあげたらタクシーが止まり、その小学生がタクシーに

乗りました(そういうことなのか?)

おまけー2: ヒアリ問題で思い出すのが、インドネシアの「アオジタトカゲ」。江戸時代から

インドネシア経由で届くオランダの物産の中に「アオジタトカゲ」が潜み、上陸したのが

ツチノコ」だと思っています。

アオジタトカゲの画像検索してみてください)

おススメコーナー:「黒鳥の湖」です。

ショーチェンジして、かつての六本木金魚を彷彿させる状態になっています。

ぜひ足を運んでみてください。

http://www.kokucho.com/

関連記事

TOP
TOP