Vol.529  過度の忖度行動の根源

▼最新の観点から動画解説しています。

「過度の忖度行動」。これがあると、進むべきことが進まず、空回りすること多発。

いいことがありません。

大辞林では「忖度とは他人の気持ちをおしはかること。推察。」とあります。

忖度そのものは、もちろんいい事です。但し、それが過度になるからいけないのです。

組織を蝕み、動きを止めます。

例えば、現場で頻繁に起きているクレームについて。“こんなことで忙しい「上」を

煩わせてはいけない”、と現場の責任者が考え、「上」へ報告せずに対処する。

「上」は顧客の声を一番大事にしたいと考えているにも関わらず、ついぞこその実態を

知ることはありません。

「上」が発案したことが実は的外れ。しかし、そう言ってしまうと「上」が気分を

害するだろうと(怖れて)誰も進言せず、そのプロジェクトが動き出す。

プロジェクトに参加させられたメンバーは誰もが“うまくいくわけがない”

と思っているので力が入らず、当然結果も出ない。

この手のことが蔓延している組織をたくさん見てきました。

「上」からすると恐ろしいことです。意図せず「裸の王様」になっているわけですから。

「上」の行動がそれを助長していることはあります。「上」について不満を持つ

幹部たちと「なぜ、過度の忖度行動があるのか」について議論すると、

たいてい次の議論になります。

・「忖度せざるを得ない状況」がある

・上が意図を明らかにしてくれない

・コミュニケーションスキルの問題もあるだろうが、保身のために、

 どっちにでもとれるように話しているのかもしれない

・または、上が忙しさにかまけて情報共有をしてくれない

・そこに忖度を期待する「上」の甘えがあるのかもしれない

(自分も忖度してきたからとして)

・さらには周囲に忖度する人が多いので自分も忖度せざるを得ない

・なぜ、そうかというと、忖度しなかったがばかりに“エライ目”に遭った人が

 多いから(または多いと思っているから)

これらは全て「上」が悪いという論調です。忖度せざるを得ないのは「上」のせい

という話です。私もこれが主要因だとして「上」に行動改善を求めたこともあります。

確かにそういうこともあるのでしょう。

但し、最近私はそれが全てだとは思わなくなりました。

いつの時代でも「上」がどんなに横暴でも、「上の顔色を気にせず言いたいことを言う」

ヒトはいます。こういう人は過度の忖度をしないだけです。必要な忖度はします。

ホスピタリティ(相手が期待することを予見して先に動く:柴田の定義)マインドが

十分にあります。ですから、言いたいことを言っても「上」が聞く耳を持ちます。

一方で、いつの時代にも過度の忖度をし続けるヒトもいます。

私は「上」以外の要因、過度の忖度行動を自発的にとっている中間管理職が多いこと。

これが主たる要因ではないかと考えています。「上」の行動はそれを増幅している副因だと。

過度の忖度行動を採る中間管理職は、「上」を言い訳にすることが多いです。

“「上」がこう言っている”、“「上」からの要請です”・・・等。ひどいのになりますと、

恥ずかしげなく自分の主張を変えます。その中間管理職からの要請で行動したのに、

ひとたび「上」の意向が違っていることを知るや「自分はそんなことをやれと言った

覚えはない」と平気な顔で言います。

中間管理職の人選に問題があるのではありません。そもそも多くの人が「過度の忖度行動」を

採る資質を持っているという事だと思います。そういう人が中間管理職という板挟みの

ポジションに就くのでその資質が開花してしまうのです。

過度の忖度行動を採る源泉は「ヒトの目を気にし過ぎる意識」だと思います。周囲から

自分がどう思われているか気になる。これは会社組織の中の問題だけではありません。

ママカースト、いじめ、社会全てに蔓延していると思います。

その根底にあるのは「周りに悪く思われたくない(嫌われたくない)」という意識でしょう

。“良く思われたい”は、集団社会の中で生きていくために必要な社会性ですが、

敏感過ぎるのが問題なのです。

この敏感過ぎる人が若い世代を中心に増えているように思います。

その一つの原因は幼い頃からの「評価」だと思います。ロールモデルや模範との比較を

小さい頃からずっとされ、会社に入っても評価制度があり、これを意識し過ぎている

のではないでしょうか。

この精神構造が生まれるメカニズムを壊すこと、または周囲の目に敏感過ぎる意識を

解き放つことをしていく必要があると思っています。 しかし、これをどうやるか。

今、その模索中です。(勉強会をやろうかと。)

おまけー1:京都に立ち寄ってきました。紅葉の本格シーズンはこれからですが、

高雄からの眺め絶景でした。苔寺での写経と庭散策も良し。

おまけー2:京都水族館で「鱧と鰻とうつぼの比較をしている」というエキサイティングな

企画の話を聞き、帰京前に17時閉館のところ滑り込みで入りました。

おまけ-3:残念ながらこの企画2012年の企画と判明。代わりにオオサンショウウオ

たくさん見ました。鴨川の上の方にたくさんいるらしいです。実は中国からの外来種らしいです。

(興奮しますよね)

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