1016号「トップの右腕の条件」(メールマガジン「人事の目」)

今日のテーマはトップの「右腕」です。

トップの「右腕」となる人は次のような人です。

・トップを補完できる人
・トップを成長させられる人
・トップに苦言を呈することができる人

トップを補完するとは、トップが苦手としていることを補うということです。例えば、トップが“イケイケどんどん”の場合には、管理面の強さが求められます。トップが社員に対して“言ってはならない言葉”を言いがちなキャラクターの場合、言われた社員のフォローが求められます。

トップを成長させられるというのは、トップにその実力をいかんなく発揮してもらえるような環境をつくるということです。トップの苦手領域を補完するだけでなく、強みを伸ばせるような場をつくります。

発想豊かなトップであれば、その発想を実現することを意気に感ずる人を周囲に配置します。なんらかの刺激を与えることがトップに良い影響を与えると思ったら、外部の勉強会やイベントへの参加を進言します。社長のビジョンを言語化し、実行計画に落とし込めるようなプロセスの設計。これもそうです。そのプロセスはトップを成長させる機会となります。

トップへの苦言。これは周囲が「右腕」に期待する最大のことかもしれません。トップの発言、行動が周囲からどのように映っているかを捉え、必要に応じて苦言を呈することを厭わない。「右腕」にはこの強さが求められています。言っていることとやっていることが違う、約束を守らない、公私混同、こうした場合には、はっきりトップに苦言します。

以上のことからおわかりのように「右腕」は部下ではないのです。トップにしてみると、「右腕」とは自分の思い通りに動く存在ではなく、自分のビジネスパートナーなのです。「右腕」がいないと嘆くトップがよくいますが、自分のせいかもしれません、本来「右腕」となる人間を手足のように扱うから、いつまでたっても「右腕」に育たないのです。

役職的には「社長室長」が「右腕」となるケースが多いです。社長室長を命じられたときには、

“自分は社長の「右腕」となることが期待されているのか?”
それとも、“万能秘書的存在になることが期待されているのか?”

この確認をしましょう。前者である、ということであれば、自分は今日から部下ではなく、ビジネスパートナーとして接することになるがよいか?と伝えましょう。

その上で、「右腕」に求められることを実行するために、自分自身を高めましょう。勉強しましょう。人に会いましょう。徹底的にトップを分析しましょう。トップに罵詈雑言言われたとしても聞き流しましょう。

「右腕」を3年やると、相当の実力がつくはずです。優秀な若者がいたら、「社長室長」経験をさせることを強くお薦めします。

そして、トップのみなさんへ。「右腕」を活かすも殺すも、あなたの接し方次第です。


おまけー1:私がよく知る某社での話。
心が折れている優秀な部下に対する女性COOの渾身の励まし。

「わたしの“二の腕”になってほしいのよ!」
「ん?」

(この組織にはパワハラがないことを確信)

おまけー2:あるイベントの振り返りでの会話を傍聴。

部下A:「強力な雨男がいまして・・・。」
頭のてっぺんが薄い上司B:「たぶん、彼が河童だからな。」
部下A:「河童はBさんじゃないですか。」

(この組織にはパワハラがないことを確信)



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