1004号「社員民度」(メールマガジン「人事の目」)


「人間の証明」(角川歴彦著 リトルモア)を読みました。
無罪を主張する被告の勾留を長期化させる「人質司法」。被疑者の人権が全く無視されていることがわかります。罪を認めるよう物理的・心理的に圧迫するやり方が、日本にまだ存在していることを再認識しました。あまりにひどい。怒りがこみ上げてきました。名古屋出入国在留管理局に収容中に、適切な医療措置を受けられず死亡したスリランカ人女性の事件を思い出しました。日本が人権後進国と言われている所以です。

角川さんは私がCCCのCOO時代に社外取締役をお願いしていました。接点はさほどありませんでしたが、親分肌で本質を見抜く力に敬服していました。その角川さんが逮捕されたというニュースを知り、“あの角川さんが?まさか?”と思っていました。

ちょうど同じように長期にわたり拘留された知人から、拘留期間中にうけた仕打ちを聞いたところでしたので、角川さんのケースは例外ではなく、人質司法が当たり前になっているのでしょう。本当にひどい話です。このやり方は今の日本人の民度に合っていません。

ガザ地区で起きている子供が入院する病院への爆撃や、拉致・人身売買行為については誰もが許されないと思うでしょう。人質司法で行われている、有罪が確定しない被疑者への恫喝、衆人環視の中で排便や排尿を行わせるなどの辱めを与える行為、体調不良の訴えを無視するも許されない行為だと私は思います。

これらのことが行われてしまうのは民度の問題だと思っています。民度が低いと許されない行為についてもなんとも思わなかったり、そういうものだと思ってしまいます。いまの日本はこの民度ではないはずです。

そうであっても、民度が低いことがまかり通ってしまうのは日本の日常の中にまだ民度の低さを疑わせることがあるからではないでしょうか。セクハラに始まり、パワハラ、モラハラ、カスハラなど、世の中に多発するハラスメントは自分の感情に溺れ相手の心情を無視する行為です。これも人権侵害だと言えるのではないでしょうか。他にもあります。

規則違反となった社員に対して、その事情に耳を傾けることなく、ルールからの逸脱を一切認めないとする姿勢も人権侵害になりかねません。働く場所や時間帯について、個人の事情や意思を聞くことなく“決まりだから”と強制するのも人権侵害になりかねません。各人のキャリアや働き方に多大な影響を与えることについて、“会社の方針だから”として意見すら聞かないのも人権侵害になりかねません。

ほうっておくと社員はサボる、目を光らせておかないと不正を働く、命令しないと動かない、意見は文句だけ。

経営者にそう思わせてしまう社員民度なら仕方ありません。そうでないなら、声を上げるか、民度の低い会社から離れましょう。それが自分の身を守ります。

角川さんが国に対して「人質司法」を止めるように、と国に対して損害賠償請求を起こしています。これに国がどう反応し、対応するか注目したいと思っています。

おまけー1:7月12日に「メルマガ1000号到達記念パーティ」に多くの方にお越しいただきました。ありがとうございました!PHAZEリカレントの有志の企画、お手伝いに感謝です。とても居心地の良い、温かい会でした。(パーティの様子はそのうちYouTubeでダイジェスト公開します。)

おまけー2:乗り物の隣の席で突然“ベイビ、ベイビ”と歌いだすおじさんあり。耳からはうどんが・・(これ、わかる人にはわかる表現)

〈社長と人事の共創塾のお知らせ動画です〉
▼内部告発にどう対応するか?
https://youtu.be/Jy7ZqJTXA6o


記事はメルマガ「人事の目」で配信されています。

メルマガ登録(無料)はこちら

関連記事

TOP
TOP