1014号「健全な内職」(メールマガジン「人事の目」)

幹部に近づくにつれ意識的に鍛えるべきスキルがあります。

それは「健全な内職スキル」です。内職が一般的にダメと言われるのは、目の前のことがおろそかになるからです。「健全な内職」は違います。目の前のことも100%、内職も100%やります。

組織の中で役割が拡大すると、処理することが飛躍的に増えます。そのとき、ひとつひとつタスクに向き合うやり方をしていると絶対に“回らなく”なります。マルチタスク力が求められます。それを可能にするのが「健全な内職」スキルです。

私がこの必要性を痛感したのは米系組織人事コンサルティング会社のマーサーを辞める2年前でした。当時、日本法人の社長のほかに、組織人事コンサルティング部門のアジア・パシフィックの副社長、Global leadership team(本社のマネジメントチーム)のメンバー、それにGlobal transition teamのアジア・パシフィック代表と4つの大きな役割を同時に担っていました。加えて、一時的に退職金・年金部門の日本法人の代表も務めることになり、本当に首が回らなくなっていました。

やってもやってもタスクが減らない。グローバル企業なので朝起きると海外からのメールがどばーっと入ってる状態です。それこそ病みそうになりました。

サバイブするにはこれしかない、と思って始めたのが「健全な内職」です。電話会議中にメールの処理をする。これが最初だったと思います。その後、打合せ中に話を聞きながら、その場で資料をつくること(「後で」にしない)を意識しました。さらに会議中に別の案件のメールを処理することを始めました。会議も自分が決裁者のことが多いので適当に対応するわけにはいきません。メールを処理していても会議の内容には集中です。意見を求められたら、よどみなく話せないといけないと意識していました。

最初がうまくやれたわけではありません。試行錯誤しながら得た「健全な内職」の秘訣をお伝えします。

仕事は「インプット」「スループット」「アウトプット」の流れでするものです。このうち、深い「インプット」を必要とするものを内職の対象にしてはいけません。例えば、じっくり読まないとその内容がわからないようなメールはNGです。インプットに集中すると目の前のことから意識が飛んでしまいます。深く考えなくとも対応できるもの、例えば「了解しました。」で終えられるようなメール、資料のレビュー、自分のプレゼン資料の修正、日程調整など・・・これらが内職テーマとしては最適です

打合せ中にまとめの資料をつくる。これも自分の身をかなり助けます。インプットした内容をすぐにアウトプットするのです。会議後に改めて作るということをやっているとタスクが積みあがります。その場で作るのです。このためには思考の速さでPCのキーボードを打てるようになっておく必要があります。また、ワード、パワーポイントというアウトプットをつくるのによく使うツールについては考えることなく操作できるようになっておくことが必要です。(意識してやっていくと、そのうちできるようになります。スキルというのはそういうものです。)

トップ100人中98人はこの「健全な内職スキル」を身に着けているはずです。だから、事細かく書いた資料を嫌います。じっくり読まないといけないので「内職」が妨げられるのです。


おまけー1:校歌を旬のアーチストに頼んだらラップだった、というコント的なことを妄想していたら、本当に校歌がラップの学校がありました。和歌山南陵高等学校です。(YouTubeで見れます。)

おまけ-2:「麹町にお願いします」と何度言っても「大手町?」というタクシーの運転手さんに遭遇。3回言っても通じなかったので大手町から地下鉄で麹町に帰りました。

おまけ-3:(真面目な話)いま必要な政治改革は選挙制度だと思います。こちらをご覧ください。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ac677014b54320fa9cf0ad6593af519e685f7933



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