1083号「再度問う、人事制度が足かせになっていないか」(メールマガジン「人事の目」)

2019年8月、「時代にそぐわぬ人事制度」というコラムを書きました。
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO48643220W9A810C1XY0000/

当時の問題意識はシンプルでした。

人事制度そのものが、企業の成長を支えるどころか、
むしろ足かせになっているのではないか――
という問いです。

あれから7年。

DX、人的資本経営、ジョブ型。
言葉だけ見れば、人事は大きく前進したようにも見えます。
しかし現場では、制度が現実に追いつかず、
組織のスピードを鈍らせている場面に出会うことが増えました。

制度は本来、人や組織を縛るものではありません。
人と事業の可能性を広げる“器”であるはずです。

それにもかかわらず、上意下達、年功という
過去の前提で設計された仕組みが、
いまなお意思決定や挑戦の重しになっている。
7年前に投げた問いが、ようやく本題に入った――
それが現在の私の問題意識です。

もちろん、上意下達型の運営が適した業種もあります。

製造ラインや物流センターのように、
品質の均一化とスピードが重要な現場。
公共インフラや行政実務の一部のように、
法規制・コンプライアンスの比重が大きい領域。
あるいは災害対応などの危機管理。

こうした業態では、従来制度の必要に応じた改訂で十分でしょう。

しかし、それ以外、特に創造的成長が求められる業種では、
従来型人事制度をコペルニクス的に見直さなければ、
組織の存亡に関わると感じています。

では、何が問題なのか。

最大の論点は「格付け」です。

上位職はゼネラリストの(専門領域を持たない)管理職
滞留年数など年功的な影響

これらが、いまや組織の遠心力を弱めています。

かつては合理的でした。
事業環境が大きく変わらない時代では、
経験の豊富さ(年功)が判断の質を担保していたからです。

しかし今は違います。

未来は不透明。
AIをはじめとする技術革新が事業を揺さぶる時代です。
問われるのは情報感度と行動力。

すべてのヒントは現場にあります。
現場発の知見なくして、変化には対応できません。

だからこそ、
現場でPlan–Do–Seeを回せる
遠心力型(分散型)組織への転換が必要なのです。

評価軸も変わります。

思考や分析の大半は、今後AIが担うでしょう。
人に求められるのは、
問題を解く力よりも、
問題を発見し、問いを立てる力。
知識ではなく、知恵の時代です。

知恵を働かせ、顧客価値のアップデートを導く。
そんな創発型人材が活躍する集団を目指すべきだと思います。

ゼネラリスト育成の人事制度を続けていくと
一部の“超優秀層”を除けば、
根無し草のような集団、指示待ちの集団が構造的に生まれてきます。

創発型人材は、
自らの専門を深めながら組織に貢献する存在です。
指示命令では動きません。

以下のチャートは、
創発型人材が「やらされ仕事が多い」と感じ、
退職を選ぶ構造を示しています。
根源にあるのは、
管理職が“ふつうのゼネラリスト”であることです。

再度問う、人事制度が足かせになっていないか

この格付のあり方は、見直すことができます。

まず、自社の事業を構成する専門領域を特定します。
これを「ジョブファミリー」と呼びます。

次に、ジョブファミリーごとに現職者を比較し、
どのような専門性が求められているのかを言語化します。

その言語化をもとに、
専門性を可視化する「評定チャート」を作成します。
これは専門性のランキングを明らかにするツールになります。

このツールによる評定が、人事評価になります。
同時に、格付もここから決まります。

従来のような「昇格」という概念はなくなります。
毎年の評価に基づき、番付(格付)が変わるイメージです。

管理職の役割も変わります。
指示命令する存在ではありません。
チームに問いを立て、方向性をまとめていく存在です。
もはや管理職は“罰ゲーム”ではなくなります。

これらの考え方について、3月13日 11時30分よりオンラインセミナーを開催します。

ご参加希望の方は、以下よりお申し込みください。
参加費は無料です。

https://forms.office.com/r/gi2fjBZB3z

人事制度を変えることは、
評価の仕組みを変えることではありません。
組織の哲学を変えることです。

7年前に投げた問いは、
いま、現実の選択として私たちの前にあります。

次の時代の人事を、一緒に考えてみませんか。

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