894号「科学的人財配置、発見」(メールマガジン「人事の目」より)

人材プロファイリングに有効な一手

ちょっと前の886号「科学的人財配置」でこう書きました。

「組織が大きくなると社長やその周辺で掌握している人材が限られます。プロジェクトの組成や重要な配置を検討するときに、気をつけないといつも同じ顔触れになってしまいます。データがあれば“知らない人財”であっても検討の俎上に載せることができます。

問題は何のデータを使うかです。年齢、学歴などの属性情報、異動歴、人事評価結果、特技・・・。使えないことはないですが、こういうデータからでは“どんなことができそうか?”がわかりにくいです。(中略)

見つけた(と思っています)。MP診断です。MP(マネジメント・プロファイラー)診断とは調査会社のIIOS社が開発したツールです。8年ほど前にこのツールに出会い、様々な局面で使ってきました。2015年には拙著「優秀なプレイヤーはなぜ優秀なマネージャーになれないのか?」(クロスメディア・パブリッシング)の中でも紹介しました。」

VUCA時代に活躍するリーダーの人材像

VUCA時代 リーダー 人材その後、IIOS社の協力も得て、過去にIndigo Blueで実施した診断結果(2,534名)とその後の登用状況など、いろいろ深堀してきたところ発見がありました。

ここ1から2年で比較的大きな組織のリーダーに登用、抜擢されている人の大半が「Cu型」でした。

「CU型」の特徴的な強みは以下とされています。

  • 新しいアイディアを必要とする困難なタスクに貢献できる
  • 他のスタイルの人達に見えていない将来のあり方を見通すことが得意
  • アイディアややりたいことをロジカルに説明し、説得することに長けている

VUCA時代にこうした強みを発揮してくれるリーダーが求められているのは納得できます。

MP診断は個人の思考、行動特性、強み・弱み、などのプロファイル診断をするツールです。診断結果は16のタイプに分かれます。ちなみにIndigo Blueが関わった2,534名中「Cu型」は9.8%でした。(注:Indigo BlueでMP診断を受検している人達は概ね「選抜されたリーダー候補」の方々です。母集団としてはやや偏っています。)

「Cu型」ではないとリーダーに向いていないのか、というとそれは違います。他のタイプであっても優れたリーダーはいます。ただ、VUCA時代に即した新たな牽引者を求めるなら「Cu型」が向いていそうだ、ということです。

実際のリーダーとしてのパフォーマンスは「(生まれもっての)行動特性」だけで決まるものではありません。様々な経験的な要素の影響があるはずです。つまり、「優れたリーダー」=f(行動特性、経験的要素)となります。このうち「行動特性」にあたるのが「Cu型」ではないか、と思っています。

この仮説から、「Cu型」人財にさまざまな経験をさせることで優れたリーダー候補を、早く育成できるのではないかと考えています。さらに経験的要素が具体的に解明できると、育成の成功確率を上げることができるでしょう。今後もMP診断結果とOT(体験型ケーススタディ)におけるパフォーマンスの結果、配属履歴などを注視していこうと思っています。何か見えてきたら、このメルマガでご紹介します。

おまけ

おまけー1:このMP診断を経営チーム全員でやると、経営チームとしての行動特性が表出します。有事になると議論を重ね過ぎて前に進まない、お互いの調和を優先して新しいことに着手しない、ルール度外視で前に進む、など。自分たちの特性(陥りがちな行動)を理解しておくことは役に立つはずです。

おまけー2:ここのところMP診断に係る話をいろいろなところでしていたせいか、5月19日付の紀伊国屋書店さんの電子書籍分野で「優秀なプレイヤーはなぜ優秀なマネージャーになれないのか?」がランキング3位に入ってました!

おまけー3:Youtube、長すぎると反省。自分が見るYoutube映像も3分を越えると途中で切り替えていることから、6月配信分から意識して短くしました。毎週水曜日配信です。こちらもぜひご覧ください。(よろしければ周囲の方にもお知らせください。<(_ _)>

執筆

Indigo Blue 代表取締役会長
柴田 励司(Reiji Shibata)
上智大学卒業後、京王プラザホテル入社。在籍中に、在オランダ大使館出向。その後、組織・人材コンサルティングを専門とするマーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング(現マーサージャパン)に入社。2000年には、38歳で日本法人代表取締役社長に就任する。以降、キャドセンター代表取締役社長、デジタルスケープ(現イマジカデジタルスケープ)取締役会長、デジタルハリウッド代表取締役社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブ代表取締役COOなどを歴任。2010年7月より株式会社Indigo Blueを本格稼働。

 

 

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