907号「自分の頂点(ピーク)にいると思うと」(メールマガジン「人事の目」より)

こんな人が周囲にいませんか? 執行役員に昇進して人が変わったように保守的になった。部長時代には飛ぶ鳥を落とす勢いだったのに、全然チャレンジしなくなった・・・。若手を育てなくなった・・・。周囲にしてみると不思議でなりません。(どうしたんだろう?)抜擢した方としてはむしろ不安になります。体調でも悪いのか、不満があるのか、それとも・・・?

上のポジションについて勢いが止まる。わかりやすいケースは”準備が整っていない“ためです。昇進したものの、更なる上位職として働く実力がまだ伴っていない。それだけです。この場合は心配ありません。時間の経過と共に元の勢いが戻ってきます。問題なのは時間の経過と共に勢いが徐々に減退していくケースです。

その要因は極めて心理的なものです。無意識下で「ここが自分の頂点だ」と思っているからです。頂点から落ちないようにしたいという思考パターンになっています。これは当然です。いきおいリスクをとらなくなります。また、自分の身を脅かす可能性がある存在を排除しようという動きになります。

トップが「チャレンジせよ!」と号令をかけても現場が躍らない。よくあります。これは現場の責任者がチャレンジすることを避けているからです。現場責任者も口では「チャレンジせよ!」と言います。ただ、本人の行動が保守的なので、優秀な部下は上司が避けていることに踏み込みません。

この傾向はオーナー企業ほど顕著です。オーナー企業の場合、どんなに優秀でも社長にはなれないとみなが思っています。となると、執行役員になると“あがり”=頂点です。あとは落ちるだけ、そうなると、なかなかリスクはとれません。

こうなってしまう構造を見直した方が良いと思います。昇進をモチベーションマネジメントの主軸に置くやり方を変えましょう。このやり方は内部で切磋琢磨する状況を生む一方で、「顧客志向」よりも「時の権力者志向」になります。また、組織内におかしな政治を生む怖れがあります。そもそも、昇進マネジメントは組織構造がピラミッド型であることが前提となっています。昭和のマネジメントの残像です。

いまや組織構造で留意すべきは、いかに柔軟性をもてるか、です。そうなると、一歩一歩上に上がっていくやり方は合いません。状況に応じて最適な人がリーダーシップ(役職)を担う、というスタイルが今のやり方です。当然、リーダーになったり、メンバーになったりします。これにより“あがり”という概念そのものを消してしまうのです。これはマネジメント側の施策です。

オーナー企業では敢えて社長をオーナー家以外からアサインし、オーナー側は株主として監督するという立ち位置を採ることも有効です。

これらよりも重要なことがあります。個人の心のもちようを変えることです。アラフィフ以上はこっちですね。

歳をとるたびに自分のピークを更新する、という意識を持ちましょう。歳をとるということは、肉体が老けることになるかもしれませんが、精神(魂)はより高みに進んでいます。若いときと同じことを、同じようにやるのでは進歩がない、より高い次元のことを自分はやるのだ、と思うのです。

そう思うようになると、“あがり”感は全く出てきません。頂点はありません。一生現役です。


おまけー1:天気が急変する日々ですね。出かける先の天気予報(雨雲レーダー)を見ています。傘を生涯で50本はなくしている方から、“天才ですね!”と褒められましたが、ちっとも嬉しくありません。

おまけー2:飛行機でまだシートベルトのサインがついているときに、トイレに駆け込む初老の男性有。トイレの前に座っていたCAさんが焦ってトイレを開けようとしたところ、“入ってます!”と怒声。ここだけ取り上げてみると、入っているトイレを開けようとする方が悪い感じ。

おまけー3:先週のおまけで書きましたバッタの襲来。その後も続いています。どうやらチャンスが訪れるメッセージらしい。(うしし)

記事はメルマガ「人事の目」で配信されています。

メルマガ登録(無料)はこちら

関連記事

TOP
TOP