915号「いち社員の問題と思うなかれ」(メールマガジン「人事の目」より)

ひとりの社員の行動がその会社のイメージを棄損します。経営者が知らないところで、下請けや取引先に対して不誠実な態度をとっている人がいるかもしれません。特に大きな組織になると上の目が行き届きません。要注意です。

かつて知り合いのベンチャー企業でこんなことがありました。某大企業の担当者が商品の納品を強制。土日関係なく一日に何度もCEO宛に電話がかかってきたそうです。発注書を依頼したところ、「うちの会社は始めたことを止めない会社。いままでも発注後からだけど必ず(発注書を)出しているでしょ。それにうちと取引できることは価値になるから」。その言葉を信じて必死に商品を用意したところ、連絡がとれなくなり、挙句の果てに案件がなくなったと納品を拒否されたそうです。

やりとりのメールが残っていたので会社に正式にクレームしたところ、担当者が異動したとのことで、けんもほろろな対応。この時点で相談を受け、私がその会社が所属するホールディングスの社外取締役に事態の解決をお願いに行ったのですが、「あまりにその手のことが多いので、訴えてもらうしかない」と言われて絶句した記憶があります。当然ながら、法廷闘争に耐えられるだけの体力がベンチャーにあるわけがありません。泣き寝入りです。酷い話です。

また、ある会社では取引先の企業から請求書で依頼している日付までに入金がなく、担当者に連絡したところ、“あ、すみません、処理忘れました。来月でいいですか?”と言われたそうです。こんなことをされるとベンチャーは簡単に潰れます。

大企業も最初はベンチャーだったはずです。大企業になったのは先人たち、または今の経営者や幹部たちの努力の賜物だと思います。そこには「感謝」があったはずです。大企業になってから入社してきた人達の多くは意識が違います。そこに「感謝」はなく、大企業に所属していることを、自分の社会的なステイタスだと勘違いしがちです。勘違いならまだしも、前述のような行動をとる輩が出てくると先人たちの努力が水泡に帰します。

悪しき行動は特定個人の問題ではありません。それを寛容してしまう風土がそこにあるはずです。目先の結果さえ出せば何をしてもいいという風潮、周囲がどんなに困っていても助けようとしないという姿勢、“うちの会社は・・・”という訳のわからないものを言い訳にする傾向・・・、これらがあるはずです。

これを放置しておくと、イメージの悪化に留まらず、かならず会社全体がおかしなことになります。そこにあるのは「自分さえ良ければいい」「自分一人くらい・・・」という集団的な無責任状態です。全ての企業不祥事の源はこれだと思います。ちなみに冒頭のとんでもない大企業は先日、巨大な債務超過状態にあることが発表されました。さもありなんと思います

経営者のみなさん、課長層の言動に注意してみてください。上司への言動は問題ないはずです。部下、取引先(特に下請け)への言動です。一般社員、特に若手社員への課長の影響は大です。部下や社外に対して不誠実な言動をとっていても、結果さえ出ていれば容認されていると“あれでいいんだ”と、その不誠実が一般化します。

先日、IndigoBlueが某社課長の不誠実な行動により大迷惑を被りました。その会社のことを思うに残念でなりません。


おまけー1:11月14日(月)に行うタウンホールシアター(無料トライアル)の参加者(20代限定)を引き続き募集中です。参加者は架空のベンチャー企業の社員となって、資金調達のための事業提案に臨むというケーススタディです。事業の俯瞰、提供価値の再考がテーマとなっています。

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(または有給とって参加ください。)

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おまけー2:某ブランド店でスニーカーを買おうとしたのですが、足がドラえもんなので合いません。(涙)

 

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