917号「2023年組織人事マネジメントの課題その1」(メールマガジン「人事の目」より)

最近コロナのことが語られなくなってきましたね。それはそれで良いのですが、コロナ前に戻ったわけではありません。明らかに「変化」がもたらされました。この変化に対していかに自社を適応進化させるか、今後どう変化しても対応できるしなやかな組織をつくるか、待ったなしの課題です。これらの鍵は言うまでもなく組織と人。最近この手の相談や講演依頼が目立つこともあり、今回と次回で「2023年の組織人事マネジメントの見直しガイドライン」について、思うところを書いてみます。

その1:「遠心力マネジメント」へ本格的に舵を切るべし

上層部が考え、現場がそれに従う。このスタイルを「求心力型マネジメント」と言います。多くの企業、団体で長らく採られてきたマネジメントスタイルです。求心力型では顧客接点から遠い人達(しかも、過去の成功体験者たち)が構想の主体者になりますので、市場の期待からズレる可能性大です。顧客価値を創っている現場で起きていること、起きつつあることを皮膚感覚でとらえ、素早く試行し事業化・対応する。これを廻していくために、現場で考え、現場で実行する「遠心力型マネジメント」を指向すべきです。

スタイルの変更は権限移譲だけでなんとかなるわけではありません。現場の責任者に上の確認をとる(保険)気質が残っていると変わりません。また、至るところで勝手にやってしまうと全体としてのリソース配分の問題や壮大な無駄が生じる可能性があります。遠心力型マネジメントの中心には優秀なコントロールパーソンが必要です。さらに、そもそも何のために活動しているのか、そのパーパスを共有しておく必要があります。何よりも大事なことは、現場のメンバーの心の導火線に火をつけること、チャレンジを具現化する実力(スキル)を身につけさせることです。

その2:ヒトとヒトをつなげよ

組織開発(Organizational development)に本格的に取り組みましょう。世の中の変化が複雑化するにつれて、自社で定めた組織の枠にこだわっていると「見るべきもの」が見えなくなります。全社の横の壁を薄くしましょう。組織横断のプロジェクト、ワークショップ、対話の機会を設けて、組織内のヒトとヒトをつなげます。目指すは以下の3点です。

• お互いに良く知っている状態にする ~ Who knows what(誰が何を知っているか)が共有されている状態にする
• 相互に信頼し、リスペクトし合う状態にする ~ Diversity & inclusion
• 何を言っても大丈夫だと思える状態にする ~ 心理的安全性の確保

これまで本格的に組織開発やってきていない場合には「対話する雰囲気の醸成」からやりましょう。全社を巻き込んだ対話の場を設定し、みなが関心がある具体的なテーマについて議論。それを集約し、会社として実行する、このプロセスをきっかけに定常的にヒトとヒトをつなげる機会を設けます。

なお、組織開発のための活動をしておくことで、その1の「遠心力型マネジメント」の実効性が高まります。

その3:年齢や年功要素を徹底的に排除すべし

過去の経験が必ずしも有効ではないので昇格概念がある人事制度は未来志向ではありません。生涯現役を後押しできる人事制度に変えましょう。どのような人事制度を目指すべきか。次号で解説します。


おまけー1:一生懸命に組織に溶け込もうとしている外国人社員から悩み相談がありました。
周囲の人たちが忙しそうなので声をかけたそうです。

「“May I help you?”って日本語で言ったんだけど、みなさんから白い目で見られた・・・“」
「実際にはどう言ったの?」
「なにしてやろうか?」 (この日本語教えたの誰だ・・・)

おまけー2:なぜか、ワーケーションのご優待のご案内をたくさんいただきます。
紅葉が呼んでいるということか・・・

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