「1対多」と「1対1」のリーダーシップとは
「1対多」と「1対1」。この両面からどのように自分が映っているか。リーダーは意識した方がいいですね。
「1対多」の映りがいいリーダーは尊敬、ときに崇拝されますが、個々とは距離があり、実務のディテール(細かいところ)で齟齬が生まれやすいです。また、多くの場合、孤独です。「1対1」の映りがいいリーダーは個々との関係性は強化できますが、組織の中に政治的な駆け引きが横行しがちです。
多くのリーダーをみてきましたが、「1対1」が得意な人が多かったと思います。あの人のために!という強い忠誠心をもったメンバーがたくさんいます。個々に“自分が一番、あの人のことをわかっている”と思わせるのが上手いです。ただし、メンバー間の協力関係は必ずしもよくありません。みな、自分が“一番の部下”だと思っているからです。オーナー系の会社でよく見られる傾向です。
このやり方は時に強烈な抵抗勢力を生む可能性があります。“自分が一番”と思っていた人がふとしたことから、そうではないと自覚したときに、愛憎心から極端にそっぽを向くようになります。そのときに、リーダーが“そんな態度ならいいや”と重用しなくなると、この人は一気に反リーダーの先鋒になります。そんなに不満があるのなら辞めればいいと思うのですが、愛憎の「愛」があるので辞めません。
「1対1」の関係性を中心に組織運営をしていると、このような不健全な状態になりやすいものです。「1対多」でも高く評価されるリーダーを目指しましょう。
「1対多」で評価される人のスピーチテクニック
「1対多」で最も意識すべきは「話し方」です。組織全体に対して、どのように話すか。逆側からすると、話しているときにどう映っているか。ここはとても重要です。
言っていることは正しい。弁舌もさわかや。ただし、聞き手に刺さらない。こういうリーダーがいませんか。
リーダーのスピーチは聞き手に高揚感、一体感、安心感を与えるものであるべきです。このリーダーの下であれば明るい未来が期待できる、そう思わせるような話し方をしてほしいですよね。
最も大事なことは「メッセージを伝える」のではなく、「なぜ、このメッセージを伝えたいのか、その想いを伝える」ことです。想いのないメッセージはただの音になります。聞き手に刺さりません。文脈ではなく特定の単語のみが残ったりします。これが誤解につながります。「1対多」のスピーチの際には、自分のスピーチを聞いた後にその組織にどのような感情が芽生えてほしいか、これを考えながら話すことが肝要です。
さらにテクニックとして、こんなことがあります。
- 話し始める前に聞き手全員の顔を見回すにこやかな表情、優しいまなざしを意識する
- ところどころに「間」を置き、反応を確認する
- 話すスピードに緩急をいれる
- 特に伝えたいところでは、身振りや手ぶりをいれる
- ジョークをいれる
- 原稿を読まない
- 最後に伝えたいことを要約する 等々
映画の中に素晴らしいスピーチをするリーダーのモデルがたくさんあります。「インデペンデンス・デイ」(1996年)の中で宇宙人たちに総攻撃をかける前の米国大統領のスピーチは最高です。
ちなみに、どちらも怪しい人は「1対多」を合格水準にすることからですね。
おまけ
おまけー1:“スタバで、俺にウインクしてくる美女がいてさ。何回もウインクするんだ。話しかけた方が良かったかな?” 某K氏から聞かれたので、こう答えました。“いや、それはただの花粉症だよ。”
おまけー2:学び直し「PHAZEリカレント」。説明会をオンラインでやります。
4月1日(木) 17:00-18:00
4月3日(土) 10:00-11:00
4月7日(水) 17:00-18:00
https://phaze.jp/orientation/
(PHAZEリカレントへのご参加を検討されている方はぜひ!)
執筆
Indigo Blue 代表取締役会長
柴田 励司(Reiji Shibata)
上智大学卒業後、京王プラザホテル入社。在籍中に、在オランダ大使館出向。その後、組織・人材コンサルティングを専門とするマーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング(現マーサージャパン)に入社。2000年には、38歳で日本法人代表取締役社長に就任する。以降、キャドセンター代表取締役社長、デジタルスケープ(現イマジカデジタルスケープ)取締役会長、デジタルハリウッド代表取締役社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブ代表取締役COOなどを歴任。2010年7月より株式会社Indigo Blueを本格稼働。
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