986号「人材の層を厚くするために」(メールマガジン「人事の目」)

現職のリーダーが異動、退職しても、その代わりを務められる人材がすぐに現れる。この、人材の層が厚い状態をつくることを「リーダーシップ・パイプライン」と言います。

リーダーシップ・パイプラインづくりのためにお薦めしたいのが「シャドウ・キャビネット」です。「シャドウ・キャビネット」は(イギリスの議会で始まったとされていますが)野党第1党が、所属する国会議員を中心に構成し、 政府・与党内閣のカウンターパートナーとして政府の政策や事業をチェックし、代替政策を提示する仕組みです。日本でも過去に設置されたことがありましたね。

この仕組みを組織開発や人材育成のために活用している企業があります。次世代を担うことが期待されているメンバーでやることが多いですが、それ以外にも世代をバラバラにし、意識的に女性や外国人を多く入れた構成で行うこともあります。

実施にあたっては、各組織の現職リーダーに直接レポートしていない層から人選するのがポイントです。直接レポートしているメンバーは現職リーダーのために動くことが求められていますので、与えられた指示を実行する思考・行動様式になっています。シャドウ・キャビネットとコンフリクトが発生することもあり、優秀かつ上位職者であったとしても、シャドウ・キャビネットのメンバーには不適です。

ちなみに、現職リーダーにレポートしている人の中から現職リーダーの後継を選ぼうとするとチームのパワーバランスが崩れがちです。トップが代わるときには原則としては配下のメンバーについては“全取り換え”の方がうまく進みます。ただし、“全取り換え”するためにはそれなりの準備が必要です。その準備として最適なのが「シャドウ・キャビネット」なのです。

現職のトップがスポンサーとなり、第三者のファシリテーターを配置。トップはこのファシリテーターを通じて、現職のマネジメントチームが抱えている問題の一部を検討してもらいます。自社の実際のケースを使ったケーススタディになります。

シャドウ・キャビネットが検討した後に、その検討結果と現職のマネジメントチームが実際に対処した結果を比較します。このファシリテーターを何度か務めてきましたが、シャドウ・キャビネットの対策案の方が優れていることが多いものです。当然ながらシャドウ・キャビネットのメンバーは喜び、かつ現職者たちのことを批判しようとします。こうした場合に私からは以下のコメントをしています。

“検討のための情報が揃い、かつ実行責任が問われていないみなさんと、情報が揃っていない中で実行責任が問われている現職者たちとは違う。現職者とは”走りながら、責任というプレッシャーの中で考えねばならないものだ。“

このコメントを聞いても全く気づかない人が少なくありません。こればかりは感覚的に体験してみないとわかりません。次世代を担うであろう方々にOT(体験型ケーススタディ)を推奨しているのは、この“走りながら、かつ対人プレッシャーの中で判断する”疑似体験をしてもらうためでもあります。

シャドウ・キャビネットは現職のトップマネジメントとは異なる属性の集団で構成するのが良いでしょう。現職チームが同世代の日本のおじさんばかりの場合には、若い世代、女性、外国人でやってみるのが良いですよ。現職チームへの刺激にもなります。


おまけー1:先週は鬼の霍乱。「脳がスリープモード」になりました。手を変え品を変え、自分の生産性を高めるべく工夫しているつもりですが、そろそろ次元が違うこともやらないといけないなーと思いました。

おまけー2:このアロマオイル。髪の毛の若さが復活する感じです。(生えるわけではないですが、たぶん)
https://viearome.randcompany.jp/items/80942244 わたしも使っています。

おまけー3:”頑張る“はTry harderであって、”我慢する“ではないですね。
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