996号「ひらめきの感度を高めるには」(メールマガジン「人事の目」)

私がファシリテーターを務める某勉強会でヴェネチア在のヴェネチアン・ガラス・アーティストの土田康彦さんをお招きしてお話を伺いました。

土田さんの略歴に辻調理師専門学校卒とありました。調理専門学校からガラス・アーティスト?と思いましたが、そこには戦略的な試みがあったのです。

幼少時に岡本太郎さんの“芸術は爆発だ!”の影響を受けて、芸術家を志した土田さん。ヨーロッパを旅しながら絵を描き続けよう・・・と思ったそうですが、いざ現実的にどうやって食っていくか?という問題に直面します。そこで一案を講じます。レストランでバイトすれば賄いがあるはず、ならば調理師専門学校で料理を学んでから行こう。すごく戦略的ですよね。

その後、パリに住まわれ、料理、建築、アートを体感する機会を経て、トスカーナ・グロセト市より文化振興貢献者褒賞受賞、ヴェネチアで行われた第11回オープン国際彫刻展で最優秀グランプリ受賞など世界的に活躍し、ヴェネチアに移住。現在に至ります。

土田さんは作品を創るときの「ひらめき」についてこう語っています。

“作品の最終形が映像でクリアに降りてくる。ところが、これが時間の経過とともに霧のように消えてしまう。消えてしまう前にそのディテールまでを言葉にし、絵を描く。このプロセスを経ることでひらめいた作品が完成する。”

“クリアな映像でひらめきが降りてくる”。ソフィアバンクの田坂広志さんが仰っているとおり、ひらめきは“受信”なのだと思います。どこから受信するのかはわかりません。ただ、“降りてくる”と言う感覚はわかりますよね。クリエイティブ領域で一流と言われる人たちは、このひらめきを受信する感度が高いのだと思います。

寝ているとき、シャワーを浴びているとき、散歩しているとき・・・、ふとしたときにひらめきがありますよね。たぶん「余計なことを考えていない」「心と身体が空の状態」になると受信感度が高まるのだと思います。(こうした機会を意図的につくるのが「瞑想」だと思います。)

土田さんは“クリアな映像が降りてくる”と仰います。「受信箱」の解像度が8Kなのだと思います。一般人だとせいぜい100ピクセルでしょう。私は受信箱の解像度は感受性の豊かさにより決まると思います。いろいろな経験とそのときの感情の記憶、人間関係を通じた感情の揺らぎ、様々な感動体験、これらが多ければ多いほど感受性が豊かになり、受信箱の解像度が高まると考えています。

勉強ばかり、同じ仕事ばかりしていたり、人とのふれあいを避けていると感受性が鈍くなります。いろいろなことにチャレンジし、心を震わせる音楽や芸術にふれる、または美しい自然体験を重ねる。これらが効いてくると思います。

“ひらめきが霧のように消えてしまう前に言葉にする”。想いを言葉にする。いいですね。私も良くやっています。私の場合、映像ではなく言葉が降りてくる感じです。体験型ケーススタディのOrganization theaterを執筆するとき、案件対応をするときにメモを書きます。このメルマガもそうです。何も考えていないのですが、PCに向かうと言葉が出てくるのです。

土田さんに出会い、この受信感度をもっともっと高めていきたいと思いました。


おまけー1:土田さんの活動を紹介したドキュメンタリー映画があります。その予告編を見ることができます。
「土田康彦 Magone」で検索してみてください。「辻調鮨科」という小説もお薦めです。

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