“企画に正解はない。ウケたら、それが正解だ。”
映像制作に携わるプロから聞きました。けだし名言だと思います。
この言葉には深い意味があります。企画の買い手(上司、顧客など)にウケたら
正解。相手の言うことをやればいいのか、と短絡的に捉えられがちです。
そうではありません。自分が話した内容しかない企画は、可もなく不可もなくです。
ウケません。そこに「驚き」「感動」など、自分の感情を動かされるものがあるから
ウケるわけです。
ただし、買い手の思いを正しく理解していない企画は話になりません。その意味で
買い手の期待をよく理解しなければいけません。ここで質問力が問われます。
例えば、“残業が多くて問題だ。なんとかしたい。”という買い手の声を聞いたとします。
そこですぐに(残業規制だーと)企画書づくりに入ってしまうのはNGです。買い手は
「残業が多い」という現象を通して何に困っているのか。ここを理解しないとズレた
企画書になってしまいます。
残業が多いことにより、社員が倒れることを心配しているのか、残業代が膨らむことを
心配しているのか、はたまた労基署の立ち入りを心配しているのか・・・
ここは聞かないとわかりません。
「残業が多くて問題ですよね。この問題を放置しておくとどうなりますかね?」
「ますます落ち着いて将来のことを考えることができないだろう。」
(そうか、仕事に忙殺されて将来計画を考える時間がとれないことを懸念しているのか。)
このやり取りなしに表面的な言葉だけを鵜呑みにして進めると危険です。
この場合は将来を見越した時間の使い方を改善したい。これがニーズだったわけです。
買い手の困りごとを正しく理解し、その困りごとを解消する。これが企画です。
その解消にあたって、買い手の期待や想像を超えるような提案ができればウケます。
このためには、まず、この買い手の気持ちになって考える必要があります。このための
情報収集とイマジネーション。ここがスタートです。困りごとの裏にあるのは、
こうであったらいいのに、という願いです。それは何か。この願いは本人も具体的に
イメージできていない可能性があります。そこを想像し、“あっ、そんなことができるのか!”
と思わせるような企画をつくる。ここに企画の醍醐味があります。
加えて、その企画はどのようなプロセスで実現するのか、どのような体制でやるのか。
継続的にやれるのか。こうしたオペレーション上のことを押さえておかないと、
どんなに優れたアイディアであったとしても実現しません。
更に、どのくらいコストをかけて、どのくらいの利益を創出するのかという
収益モデルが明らかでないと継続的に実行することができません。
これらのことを踏まえて徹底的に考える。その上でそれが「正解」かどうかは提案
してみないと、実行してみないとわかりません。自分が買い手の気持ちになって
考えたときに感動するような企画を提案すること。「正解」は後からついてくるものです。
最初から探すものではありません。
おまけー1:ハロウィン当時、何のコスプレもしてないのに仮装だと思われた人がいます。
おまけー2:頭部が光っている人たちは固まる傾向にあります。講演会場でよく見る風景です。
同類の中にいれば目立たないという潜在意識がなせることでしょうか。
おまけー3:平原綾香さんの「明日」。14年くらい前に心に染み入る歌だと思いました。
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ネット上で聞けます。)
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