Vol.739「挑戦意識が弱まったわけ」(メールマガジン「人事の目」より) 

アメリカの心理学者、故デイビット・C.マクレランドが提唱していたモチベーション理論を
思い起こす機会がありました。マクレランド博士と言えば、コンピテンシー理論の親としても
著名な方ですね。

マクレランドは人間の主要な動機ないし欲求は以下の4つによるとしています。

「達成」:物事を成し遂げたい
「権力」:周囲に影響を及ぼしたい
「親和」:周囲と良い人間関係を構築したい
「回避」:失敗を避けたい

この理論を思い起こしたのは“企業の中での挑戦”についての議論からです。多くの大企業で
“社内の挑戦意識が弱くなっている”という声を聞きます。昨日もそうでした。
社内の意識調査の結果を見るに全体的に挑戦志向が弱まっている、特に管理職層でそう、
と次世代を担うであろう中堅社員たちが話します。これに現職の経営者たちが問います。

“その理由は?”

これと同じやりとりをいろいろなところで目にします。挑戦を否定する経営者はいません。
ところが、なかなか新規事業が立ち上がりません。アイディアさえ出てきません。
健全な問題意識から、現体制を批判、チャレンジしてくる人も多くありません。
現職の経営陣はやきもきしていると思います。

これには大きく2つの理由があると思います。

まずは、この動機・欲求によるものです。大企業の経営層は私とほぼ同じか、やや上の年齢層の
方々です。1960年前後の生まれです。この世代は“追いつき追い越せ”、“右肩上がり”の
風潮の中で育ってきました。頑張って勝ち組になることが、人生の勝者となる構図でした。
だから、人よりも勉強する、頑張る、成し遂げる。これを支えていたのが「達成動機」であり、
上に立つという「権力動機」です。時代背景として、これらの動機が刺激される環境にあったわけです。

しかし、39歳以下の社員は1980年以降に生まれた人間です。時代背景が違います。
国民全体がそれなりに豊かになり、目立つことをしない方がいい、周囲に合わせ方がいいという
「親和動機」や、現状より悪くならないようにしたい「回避動機」を強く持つ人が増えてきた
のではないでしょうか。ですから、困難を伴うような挑戦をしたいという欲求そのものが
刺激されていないのです。挑戦志向が弱まっているのは一企業の問題ではなく、日本全体の
問題だと思います。(いじめの問題、SNS中毒も同じ背景だと思います。)

もう一つの理由は過度の経営管理と説明責任の追求ではないかと。何か新しいことをやろうと
しても「儲かる根拠を示せ」「計画を見せろ」「KPIは何だ?」と質問されます。新しいこと
なのでやってみないとわからないはずです。新しいことをやってみようという想いは
“儲りそう”ではなく、“やってみたい(おもしろそう)”から発生するのが普通です。
そこに、この“数字を出せ”的な管理的なアプローチが来ます。当事者としては、
冷や水を浴びせられて嫌気がさすのです。

この2つが理由だとすると、その対策は見えてきます。「親和動機」「回避動機」が強い集団に
挑戦をさせるのであれば、挑戦する仲間づくり、失敗したときのセーフティネットの用意が
役に立つはずです。過度の経営管理については、“最低限の管理しかしない”が効くはずです。

挑戦を体現しているのがベンチャー企業です。今のベンチャー企業を見るに、まさにこれらを
実践しています

大企業が新たな挑戦風土を意識するのであれば、お手本はそこにあります。

おまけー1:Facebookでは紹介しましたが「SIXPAD STATION」の体験に行ってきました。
これなかなかすごい。手ぶらで出かけて15分で完了。筋トレ効果抜群。しばらくやってみます。
(うしし)

おまけー2:“クリームあんみつ”と“ソフトあんみつ”が別ものであることを知りました。

おまけー3:あったはずのモノがない。こびとが本当にいるのではないかと思うことあり。
http://kobitos.com/ja/

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