事業も投資

 GoToキャンペーンに東京が追加され、旅行業界の回復が期待されています。しかし、インバウンド観光業界は別です。“GoTo”は日本人が対象なので、海外からの観光客が増えるわけではないのはもちろんのこと、昨年までの“インバウンド観光事業促進の流れ”で、かなり投資をしているはずです。これらは、日本人旅行客ではなく、「インバウンド観光客に選ばれるための投資」だったはずです。例えば、日本人旅行客の客足が増えても、外国人観光客向けのお土産商品は売れないでしょう。
 インバウンド観光業界にとっての苦難はまだまだ続きそうです。

 さて、話は変わりますが、ペットフード業界で活躍し、昨年より独立して事業を営んでいる友人と話をする機会がありました。友人はペットフード業界で世界トップクラスの欧米企業数社を経験しています。
 こういった欧米企業から販売しているペットフードの中には、販売を開始してから早いタイミングで日本での販売を終了し、ユーザーや関係者が驚くことがあります。

 友人がいた企業では、新規事業や海外展開は1年目の売上規模が最低●億円以上だったり、投下したリソースに対するリターン、つまり投資効率のハードルが厳しいため、あっというまに撤退することがあるそうです。担当部署だけでなく、社内/グループ内の営業リソースを使うことになるため、相応の投資効率が求められるというわけです。

 日本の会社では、今でも“●年単黒”/“■年回収”などの判断軸が少なくない気がします。3~4年ほど前にお手伝いした日本有数のメガ企業でもそうでした。

 “●年単黒”/“■年回収”とは、「損をしないかどうか」という観点です。

 一方、先述の欧米企業の判断軸は「魅力的な投資かどうか」という観点です。

 経営陣からすれば事業も投資です。しかし、日本では事業運営サイドではその意識がほとんどないままに管理職になり、幹部になっていく例が非常に多いと感じています。
 実際、IndigoBlueでは、新任管理職向け、幹部向け、経営職向けへのプログラムを今までにいくつも実施してきていますが、プログラム内で策定頂く、再建プラン構築にしても成長プラン構築にしても「資金やリソースをどれだけ使うから、どれくらいのリターンが必要だ」という考え方でアウトプットを出して頂けることは残念ながら稀です。

 何年も前からROE、ROA、ROIなどを多くの日本企業が活用しているはずですが、事業運営サイドが「その事業は魅力的な投資か」という観点で見るには至っていません。まるで「“投資”と“事業”は別の種類のもの」という意識があるかのようです。

 生産性の向上が注目テーマになっていますが、本質的には投資効率です。リソースが限定されていく今後の日本にこそ「その事業は魅力的な投資になっているか」という観点への意識変革が必要です。いち早く経営陣だけでなく、事業運営/現場の従業員への浸透が求められます。

 

———–最近の出来事———-
幼稚園に通う子供がガンダムにはまっています。
ガンプラを欲しがるものの自分で作れるわけもなく、私が買って私が作るということを続けています。
写真は、子供がハロウィンでかぶる予定のZガンダム(ダンボールで作成中)です。


 


瀧谷 知之(Indigo Blue 取締役)

 トーマツコンサルティング、ジュピターTV、
カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、2010年Indigo Blueに参画。トーマツコンサルティングでは通信ハイテク業界の戦略立案/変革支援に従事。 その後ジュピターTVを経て、ツタヤオンライン、TSUTAYA、カルチュア・コンビニエンス・クラブでは経営戦略室長を担い、ネット事業領域を中心に戦略立案や事業改善、新規事業企画に従事。2014年以降、パス株式会社の代表取締役COOおよび各グループ会社の代表や取締役を経て現在に至る。
 また、株式会社コラビーの代表取締役として経営コンサルティング、会員サービスの企画・開発およびインキュベーションなどを手掛ける。


 

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