Vol.271 変化を意図的につくる

LAに来ています。

思ったよりも、朝晩は肌寒く、多分7、8度くらいだと思います。
日中はLAらしい青空、と言いたいところですが、なぜか幾分、
その青さが薄まったように思います。

ホテルはThe Beverly Hilton。 最近はいつもここです。マリリン・モンローを始め、
ビバリーヒルズを代表する昔の大物芸能人がよく使ったホテルです。
館内にはそうした芸能人の写真がいくつも飾ってあります。歴史あるホテルのせいか、
客層はシニア層を中心に落ち着きがあります。
朝食ダイニングでサービスにあたるスタッフもシニア層。

ホテルの周辺をジョギングして驚いたことに、5ヶ月前と全く同じ場所にたぶん
同じホームレスの方が同じ格好で座っていました。
大きな傘を2つ使って身体を隠している姿は記憶に残っている姿と同じです。
たぶん、同じ方でしょう。

やっぱりアメリカのホテルのベーコンは日本と違います。
クリスピーなのにみずみずしさも残っている食感。素晴らしい!
日本では飯倉のアメリカンクラブの朝食でほぼ同じレベルのベーコンに遭遇しましたが、
他では、このレベルのベーコンにはなかなかありつけません。
超一流と言われる国内のホテル数件でもダメでした。

これって、シェフがそのベーコンで食べて育ってきたかどうかの違いが
現れているのではないかと思います。

最近、”Out of Box!(規制概念を捨てよ)”と叫び続けるだけではだめだな、
と思い始めました。Out of Boxになっていないヒトに”そうせよ!”と言ってとしても、
例え、”はいっ!”という威勢のいい答えがあっても、本当に、その行動が変わるか
というとそれは難しいです。

直感的にイメージできないことを実践するのは無理です。
ベーコンの話と一緒です。だとすると、やっぱり、
経営側がそれをイメージできるような環境をつくらなきゃだめだなと思います。
言うだけなら、誰でもできます。

本気で”Out of Box”を実践するとして、まずやるべきことは、組織の一人一人が
“絶え間ない変化”を体感できる環境におくことでしょう。言い方を変えると
“固定化する要因を排除する”ということになります。

なんと言っても異動。同じ仕事を長くやらない、同じチームで長く仕事をしない。
これが原則にします。同じ仕事を3年以上やってはいけない、というのが前からの
私の持論ですが、”同じ顔ぶれでやってはいけない”というのは、
コインの表裏の関係になります。

小さい組織でヒトの配置を変えようがない、という場合には意図的に
他社との人事交流を行なうとか、インターンを受け入れるとか、
明らかにキャラクターの異なるヒトをアルバイトで雇うとか、いくらでもやりようがあります。
スキルがどうのという問題ではありません。注目すべきはキャラです。

座席も固定しないこと。つまり、フリーアドレスが望ましいですね。
仕事の性質上それが叶わないとしたら、せめて定例の会議では、座る場所を
いつも変えるようにした方がいいでしょう。何も言わないでいると、ほとんどのヒトが
毎回同じ場所に座ります。そこを、意識して違う場所に座るように仕掛けます。
会議室そのものを毎回変えるとか、あるいは座席をくじ引きするとか。

社員食堂がある場合には、そのレイアウトを変えること、BGMを変えること、
スタッフのユニフォームを変えること、工夫が必要です。細かいところでは、
慣れ親しんだ文房具も変えてみます。
同じ時刻に始業して、同じ時刻に終業するのも変えます。(時間管理もできればやめます。)

それと、情報から何かを感じる環境をつくることも大切です。仕事を進める上で
必要な情報をイントラネットから出して、リアルに掲示します。
しかも、それを一覧できるようにします。

イントラネットはバーチャルな倉庫です。ヒトはなかなか倉庫には足を踏み入れません。
しかも、イントラネットではあらかじめ”検索”しなければなりません。そうなると、
1+1=?という思考パターンがそこで求められます。
実はこのパターンだと Out of Boxが生まれにくいわけです。

そこで、情報の背表紙を陳列する”ライブラリー”をつくります。
ライブラリーをさまよいながら、あらかじめ用意した法則性なしに、訪問者が
何かを感じることを期待するのです。

「いつ出かけても、なんらかの変化がある場所にヒトは魅力を感じる。」。
確かにヒトが賑わっているところには”変化”があります。

六本木ヒルズ表参道ヒルズ、ミッドタウン、赤坂サカス・・・、
ヒトは”新しさ”に変化を感じて新しいスポットに集い、
そこに”変化”が感じられなくなると”行かなくなる”。単純です。

経営側は組織の中に”変化”をもたらすことを意図的に考え、
それを実践するための予算を考慮するぐらいでないといけません。

“効率”を追求し過ぎると”変化”を実現しにくくなります。だからといって、
“非効率”を追求せよ、と言っているわけではありません。
“効率の追求”→”変化”→”新たな効率の追求”→”変化”のサイクルを
意識しましょう、ということです。

矛盾しているように思われるかもしれませんが、
“転がる石には苔が生えない”に2つの意味があるのと同じですね。

おまけー1:
なじみのレストランで、お気に入りのメニューを頼まずに、
食べたことのないメニューを選ぶ、を実践していますが、時に大失敗します
(なんじゃぁ、こりゃ!という味に遭遇)ので、リスク覚悟で。

おまけー2:
日経ビジネスオンラインの「体マネジメント術 カラダチェンジプロジェクト」の
第一クールで連載されております。よろしければ、ご覧くださいませ。

■圧力マネジメントから、「脱力経営」へhttp://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090324/189888/

■経営者が眠れない夜に効く「おまじない」http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090401/190718/

おまけー3:
大好きなジム・キャリー主演の映画「Yes Man」を見ました。
自分の人生を振り返ると、”Yes Man (自分のココロの声に正直に!)”
だったなあと思います。やっぱり、これかな。

 

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