Vol.274 "記憶という残像"を変えるには

イメージを変えるのは大変です。

実態がどのように変わっていたとしても関係なし。
なんと言っても、ヒトは自分が持っているイメージで物事を捉え行動しますから。
これは、ひとえにヒトが「記憶という残像」の中に生きている存在
だからだと思います。

ヒトが持っているイメージを変えるためには、そのヒトが”変化”を体感する
機会をつくらないとダメです。結構、ヒトは頑固です。
読んだり聞いたりした情報だけでは、イメージが変わりません。

イメージを変えるには、信頼できるヒトから話を聞いて、
“へぇー、そうなのか・・・?”と、自ら関心を持ち、その後、自ら試して
変化を体感する、というプロセスが効きます。このプロセスがあって初めて、
記憶の残像が上書きされ、イメージが変わります。逆に言うと、
これだけのことがないと変わらないものです。

イメージが固まって久しいと、”へえー、そうなのか”と思うまでのハードルが
高くなります。だから、年をとればとるほど”変わりにくい”わけです。
なんといっても自分の思考や行動パターンが固まっていますからね。
そこに自分のこだわりがあったりすると、なお大変。
そのヒトにとって、目から鱗の体験がないと、まず変わらないでしょう。

このため、今までのサービスよりも100倍便利で快適なものが生まれても、
一朝一夕に全てのヒトがその新しいサービスに飛びつくことはありません。
“話題には上っても手にとらない”、そういうヒトがたくさん残るわけです。

ビジネスをしている身からすると、新しいテクノロジーによる新製品、
新サービスの登場は常に脅威です。市場をひっくりかえされるのではないか
という危機感があります。

が、この”ヒトは変わりにくい”という特性のおかげで、机上で議論されるほどの
スピードでは、世の中は変わりません。
よって、必要以上にあせることはありません。残存利益を享受しながら、
次の手を準備・実行していけばよいと思います。

だからといって、”まだまだ大丈夫だ”と何もしないのは最悪です。
気がつくと変わっていないのは自分たちだけ、という状態になります。
こうなると手遅れです。あせることはありませんが、
着実に手は打たねばなりません。

同じことが組織やヒトについても言えます。安定収入に守られた組織や会社、
例えばお役所、大企業、が赤字続きになったとしても、それだけだと
長く働いている人たちに表層的な危機感以上のものは生まれません。
意識の下にある”何がおきてもウチは安泰”というイメージから逃れられません。
結果として、組織行動は変わらず、トップがくるくる替わる羽目になります。

ヒトの印象についてもそうです。かつて、強権的という印象があったヒトが、
徹底的に自己改革をしたとしても、周囲が持っているレッテルは
なかなかとれません。 “このヒト、変わったなぁ”と体感してもらう機会をつくらないと、
なかなか、その印象は変わりません。

変えようとするなら、やっぱり関係者に”変化を体感させる”こと。
これが鍵になります。

しかし、対象者が10人以下ならまだしても、全ての対象者に”変化を体感させる”
のは現実的ではありません。そこで、昔から採られている策が
オピニオンリーダーを活用するというやり方です。
まずは、影響力ある人を対象に”変化を体感させ”、その影響力ある人の変化に、
その周囲が感化されて変わることを期待する、というものです。

このやり方は、もはやあまりにも”トラディショナル”なので、賢いヒト達は
巻き込まれないようにしようというガードをはります。反発や無視という抵抗を示し、
無意識のうちに、変化を体感しまいとします。
なにしろ、ヒトは”記憶という残像” の中に生きていますので、
それを上書きされるのは、ある意味で怖い。(自分の存在意義にかかわる)からです。}

しかし、変化の仕掛け人はそんなことでへこたれていてはいけません。
強い意思を以ってやりきる。これしか、ありません。泥臭いことにも躊躇せず続ける。
しかも、できるだけスポットライトは浴びずにやる。スポットライトはあくまでも
“変化を体感するヒト達”に当てるべきです。

これしかないだろうと思います。昨年大ブームになった”Rookies”は、
この良いケーススタディだと思います。とてもベタな展開です。
ある事件をきっかけに不良化に拍車がかかり、すっかり”どうしようもない連中”
というイメージがついた野球部員、一人一人に熱血教師が”変化を体感させ”、
結果として甲子園を狙うチームに変え、周囲をも応援団に変えていく、
そんなストーリーですが、感ずるものがあります。 

GW後半、お時間あらば、ぜひ、このDVDをご覧ください。
http://www.tbs.co.jp/rookies08/ 

大学時代の私を知る後輩に25年ぶりに会いました。彼の記憶の中にある私は、
無理やり劇には出さされるは、いたずらの片棒は担がされるは、
変なバイトをやらされるは・・・一言で言うと”関わると大変なことになるヒト”
にちがいありません。
その彼が、このたびヒトが「組織を伸ばす人・・・」などの著作を読んでくれましたが、
「嘘八百、だまし千」という反応でした。まいったなあ。

おまけー1:静岡駅近くに”おばちゃん百円”というおでん屋があります。
50歳以上の方にとってのおばちゃん、という年齢の方がその”おばちゃん”です。
“お疲れ様でしたー”を一緒に言ってくれたり、口の周りについた食べかすを
ティッシュでとってくれます。(その前に、そのティッシュを自分の唇につけてた!) 
といっても、対象は50歳以上の方のみ。40代の私は息子みたいなので、
相手になりません。(良かった・・・) 
昭和のノスタルジーを感じさせてくれるお店。4人でいっぱい飲んで食べて8000円!

おまけー2:GWといっても関係なく働くヒト達がいます。
宅急便、交通機関、ホテル、レストラン・・・、こういうヒトがいて社会は
成り立っているわけですが、そういう仕事はたいがい給与が安い。
グロスの給与額は事業の収益性に関係があるので、致し方ありませんが、
社会保障面での優遇措置を考えてもいいのではないでしょうか?

おまけー3:5月4日発売の「日経ビジネス」にCCCの改革の話が紹介されています。
“記憶という残像”を変えるプロセス進行中です。改革の”結果”が出るには、
もう少し時間がかかりますが。

 

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