今日のテーマは「オープンブック・マネジメント」です。
「オープンブック・マネジメント」とは「数字(経営情報)を共有すれば社員は自ら動く」
という考え方です。
“・・・業務改革、組織改革の必要を感じていながら、なかなか成果が出ないという職場には、
かならずと言っていいほどある種の疑心暗鬼や他責が巣食っています。マネジメント側は
社員に対して「危機感がない」「当事者意識がない」と不満を露わにし、社員は社員で
上からはっぱをかけられるほど、「業績が上がらないのは経営者のせい」「本当は自分たちの
給料がもっと上がってもいいのではないか」と不信感を募らせる。これでは、組織のモラールが
高まらないのも無理はありません。
・・・ならばいっそのこと、すべてをオープンにして、自社の経営の実態を全員で共有しよう
というのがオープンブック・マネジメントの考え方です。”
とあるサイトに掲載されている「オープンブック・マネジメント」の解説からの抜粋です。
私が「オープンブック・マネジメント」について初めて議論したのは1996年のことでした。
オランダ系米国人リーダーの下、6名で2日にわたり議論しました。この議論のことはよく覚えて
います。なにしろ、米系コンサル会社時代初のNY出張で、しかもNYからロングアイランドまで
ロングベンツでシャンパン片手に移動というバブリーな会議。議論の中身もそうですが、
これらの演出が記憶を鮮明にしています。
「オープンブック」という考え方について、私は概念的には賛成です。但し、組織の全員に
対して実行するか、というとNOです。対象者を限定して「オープンブック・マネジメント」を
するのが良いと思っています。ビジョンの共有は全員です。ビジョンと経営情報は違います。
そもそも、経営情報の完全共有を全員が望んでいるわけではありません。会社で働いている人
の大半は「自分が会社を背負う」なんて思っていません。むしろ、「貢献したい・認められたい」
という欲求の方が強いはずです。全ての経営情報を共有するので自分と同じ目線で考えて欲しい・・・
と言われたら“重い”と感じるでしょう。
特に会社が高い目標を掲げざるを得ないような状況下で、その高い目標をそのまま全員に示し、
“これを達成しないと当社は厳しい!”的なアプローチをしますと、“とてもじゃないけど、
そんな数字は無理”として諦めムードが蔓延します。
やり方があると思うのです。
多くの社員は経営者が持つ気概と危機感を持っていません。だからダメだ!と不満に思うのでなく、
その人たちに刺さることをやれば良いのです。多くのヒトに目の前の仕事を着実に、かつ一生懸命
取り組んでもらい、達成すれば会社が前進する。これで良いのです。
この“目の前の仕事”を多く設計して多くのヒトに提供する。これが経営者たるリーダーの
仕事ではないかと思います。
経営者候補の人材に対しては全く違うアプローチをします。完全にオープンブックにして、
日常的に自分と同じ気概と危機感をもって仕事をしてもらいます。但し、その前にそれが
できるだけの“器”にしておかねばなりません。候補者たちが自分と同じ以上の気概と
危機感、仕事の創造ができるように鍛える。それが社長主催の次世代経営者育成プログラムの
根幹だと思います。
最近、朝ランのコースを変えました。途中に長い心臓破りの坂があります。身体がその心臓破りの
坂に慣れていない(鍛えられていない)ときに、はるか遠くのゴールを目指していくと、キツくて
走り続けることができなくなります。ところが、足元だけを見つめて、とにかく前に進むように
すると、いつのまにかゴールに到達しています。「オープンブック・マネジメント」も
そういうことのだと思います。
おまけー1:例によって「音楽座ミュージカル」の公演案内です。
「メトロに乗って」 (浅田次郎さんの傑作です)
“これからどうしていこうか・・・”という想いをもっている方が“自分もがんばろう”と
感じてもらえる作品だと思います。(町田と新宿公演、両方行く予定です)
おまけー2:Casitaは卒業かな、と思っていたのですが、総括店長に旧知の中山さんが就任。
彼と話して、また行ってみようかと。 (やはり、ヒトを動かすのはヒトですね)
おまけー3:馴染みのHair Salonの「NORA」が9月10日に拡張移転。
今度はどんな空間になるのか楽しみ。