3月20日は地下鉄サリン事件から30年。多くのメディアで関連報道がなされていましたね。
当時、私は京王プラザホテルに勤務していました。(退職4か月前でしたが)管理部門の社員も時間を調整して現場の仕事をするFHP(Flexible Human Resources Program)により、11時から14時まで宴会サービスのウエイター業務に就くことになっていました。
ユニフォームに着替え、休憩室でスタンバイしているときでした。「東京の地下鉄車両においてガスが原因と思われる事件が発生。何らかの化学物質による攻撃が疑われる。」というテレビの報道を見ました。同じく宴会サービスの仕事をすることになっていた女性社員に話したところ、その女性が「サリンかも。」と呟いたことを覚えています。(その時点でこの女性が“サリン”に気づいていたのは、今から考えると謎です。その後、この女性が長期休息し、退職をしたことも謎を深めます。)
この事件は“一人の狂人とその狂信者集団”による“稀に見る”組織的な犯行と言われていますが、全然“稀”ではないと思います。同種のことはずーっと起きています。最近ですと、“スーパーサラリーマン清水とその部下たちによる悪質リフォーム事件”もそう。オレオレ詐欺集団もそう。犯罪まではいかずとも、企業や団体でも同根の組織行動は珍しくありません。”一人の狂人その狂信者集団“になり得る組織はあちらこちらにあるのです。
強力なトップがビジョンを発信し、本人または側近がそのビジョンの実現のために違法行為やグレーな行動をとることを指示・強要します。違法行為やグレーな行動であったとしても、高い成果をあげた人が称賛され、高い報酬が支払われ、昇進します。そうなると自分と同じことをする人を称賛し、評価することになります。これが繰り返されることにより、組織行動として定着します。時間の経過とともに、“いいんだろうか”という意識が麻痺し、その組織としては当たり前の行動となります。
トップは自分のビジョンこそが是であり、それを否定するものはそれが法律であったとしても間違っている、と考えていることが多いです。異見は受け入れません。ビジョンへの想いが強いほど、違法だからといってブレーキがかかりにくくなります。
自分がいる組織が、程度の差はあれ、“一人の狂人とその狂信者集団”になる可能性があると感じたら、即刻退職する(足抜けする)のが良いでしょう。ただ、その感覚がすでに麻痺している可能性もあります。自分がやっていること、組織としてやっていることが外から見てどう見えるか、確認してみましょう。
最も簡単なやり方はキャリア入社の人に入社後3か月ほど経過した後に、“今までと違うことって何かありますか?おかしいと思ったことはありますか?”と聞くことです。または異業種の集まりなどで、他社の様子を聞き、自己判断するのもよいでしょう。取引先や短期の派遣社員の人の声も有効です。
“一人の狂人”が退任した後は洗脳を解く良い機会です。後継となったトップは社内外多くの声に耳を傾け、違法行為やグレーなことに気づいたら、それらの根絶のために行動を起こしましょう。“狂信者集団の残党”から確実に批判されますが、会社を守るために覚悟を決めましょう。
おまけ-1:最近都内で「ハクセキレイ」という小鳥を良く見かけます。2,3年前には見かけなかったのに急に増えた感じがします。
おまけ-2:熊本の松屋旅館別館。宿泊部屋は和室が苦手な私にはやや居心地が悪いですが、温泉ワーケーションの設備としてはかなりいいです。
おまけー3:ターボババアの正体は“逃げたエミュー”ではないかと思っています。
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