Vol.523 評価表をなくす

“何のためにやっているのか?”と改めて問われると、答えられないことが結構あるん

じゃないでしょうか。

どんな施策でも時間が経過すると、本来の目的が見えなくなり、施策そのものが目的化

してしまう。よくある話です。当たり前にやっていることを見直す。または止めてみる。

前向きにこれをやってみませんか。

経営者として注力すべきことをシンプルに考えると、以下の4つです。

1 顧客に選ばれるための価値づくり。

(提供手段や方法といった周辺価値づくりも含みます)これが商品開発です。

2 顧客を増やし、顧客基盤を安定させること。

  これがマーケティングであり、営業であり、顧客サービスです

3 これらを担う人財を開発すること。

4 投入する以上のおカネを創出すること

間接部門はいわば経営者の代理人です。これらが効率的かつ快適に動けるように環境を

整えるのが役割。事業規模が大きくなったときには、経営者に代わって社内外に働きかけたり、

経営者が意思決定するための情報提供をする。これらも役割として付加されます。

このシンプルな考えに基づいて人事制度を見てみると、過去に決めた制度を運用することが

目的化して、そもそもの目的から外れてきているように思えます。

例えば、評価はなんのためにやっているのか、これを人事の担当者に聞いてみてください。

“報酬を決めるためです”

“配置や昇進・昇格を決めるためです”

“社員の能力を高めるためです”

多くの人事管理者はこう答えると思います。はずれではありません。しかし、このそれぞれの

回答について、更にその目的まで把握して担当してくれていますでしょうか。

ヒトをちゃんと見ている組織の長であれば、評価制度に関わらず自分の部下たちの順位をつける

ことができます。その順位は“自分が頼りにしている人財”ランキングです。

世の中一般の評価制度には「評価表」なるものがあります。メンバーひとりひとりについて、

評価表の項目一つ一つを評価していくと総合的に各々の評価段階が決まります。

この評価結果と自分の中にあるランキングが合わないことが多々あります。そうなると、組織の長は

評価結果をいろいろ工作して自分の便りにしている人財ランキングに合わせようとします。

組織の長としては自然な動きだと思います。

しかし、これにより最終的には評価表を埋める作業に費やした時間は何だったのか、という展開に

なりますし、メンバーに自己評価をさせるような評価表だった場合には、評価表を使ったフィード

バックができなくなります。

この際、「評価表を中心に置いた評価制度」を止めてみませんか。

組織の長としては、自分が頼りにしている人財に多くの報酬を払い、より高い次元の仕事をしてもらい、

かつ、それを通じて実力を高めて欲しいと思うのは当然です。それをシンプルに実現するやり方に

するのはいかがでしょう。

私の提案はこれです。

「年に1回、または2回、組織の長が自分のメンバーのランキングをつけ、その順位に応じて

給与や賞与を決める。」

組織の長が一人で決めるのがはばかられる場合には(対象者全員をちゃんと見れていないと思う場合

には補足できるヒト、例えばサブリーダーなど、を交えてランキングをします。その際に大事なことは、

なぜこのヒトはこのランキングなのか、何がいいのか、または何が悪いのか、を明らかにすることです。

このプロセスを繰り返すことで評価者の「目」が研ぎ澄まされてきます。同じ部署の他の長が

どんな「目」をもってつけているのかを知ることで更に自分の「目」の感度が上がります。

評価表ではなく「組織の長の目を中心に置く」のです。

ちなみにこのプロセスを簡易に行うためのツールをつくってみました。

http://www.indigoblue.co.jp/pdf/tool_matrix_battle.pdf

これができない組織の長はヒトに対する関心が薄いので「長」には向きません。しかし、みんなが

みんな最初からできるわけではありませんから、「長」に登用したら、ランキングとその説明をする

ためのトレーニングをするようにすればいいのです。

考えてみたら、今やっている評価制度の仕組みは40年ほど前に定型化されたものです。その後、

世の中いろいろ変わり、仕事のやり方も変わってきているのに、人事制度の多くがなぜか昔のまま。

今回は「評価」を取り上げましたが、「等級制度」についても同じことが言えます。

そろそろ本来の目的を再考してみませんか。

おまけー1:自宅のテレビが世の中の水準と比べてあまりに劣化しているので、有楽町のビックカメラ

にて物色。60型くらいの4Kを買おうと思っているのですが、各社いろいろで悩んでいます。

おまけー2:東宝芸能50周年記念のチャリティー「Espoir」へ。明らかに私は場違い。観客の中心は

60台のセレブマダムたち。宝塚出身のヒトが出てくると一斉にオペラグラスをかける。

浦和レッズの試合に青いジャンバーを着て行ったときと同じような感覚に。

おまけー3:とある用事で長野へ。それにしても、信州のブドウはうまい。

今年は豪雨の影響で貧作と聞きましたが、どうしてどうして。

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