相手に伝わるかは、伝える側の問題
失敗しました・・・。年初になじみのサロンで髪を切ってもらいがてら(魔が差して)カラーリングをやってみたのですが、これが見事に失敗。スタッフの腕は確かです。伝え方の問題です。
自分が持っているイメージを正しく相手に伝える。どんな場合でも、これには努力を要します。伝わらないのは多くの場合、相手が悪いのではなく、伝える側の問題です。“端折った説明”や別の表現なのに“伝えたつもり”であることなど、伝える側の意識不足(努力不足)が主たる原因です。
“おーい、あれ(持ってきて)”という指示だけで、的確にその“あれ”を持ってくる某社長の秘書がいますが、これはかなりの特殊能力です。非超能力者としては「伝え方」を意識した方がいいに決まっています。しかも、ビジネスの世界ではいかに短い時間で伝えるか。ここを強く意識しましょう。
“エレベータピッチ”と言う言葉を聞いたことがあると思います。大企業のお偉いさんたちはビルの最上階にオフィスがあることが多く、アポはとれないけれど同じエレベータに乗り合わせれば最上階に着くまでの1分間は話ができる。その1分で「詳しく話を聞かせてくれ」と言わせるような提案をすべし、というのが「エレベータピッチ」でした。今は1分というとドバイのビルの最上階くらいになってしまうと誰かが言っていましたし、セキュリティの問題で同じエレベータに乗れませんから、もはやこれは伝説です。
ただし、“1分で伝える”は今でも有効です。1分で自分の考えを伝える、1分で全体がわかるメモを書く。これらを社員全員が意識するようになると組織内コミュニケーションのレベルが確実に上がります。余計なことたくさん伝えてしまうので主たるメッセージがぼけてしまったり、論理展開がわかりにくいために伝わらないのです。伝わらないために余計なやりとりが増え、感情的な問題に発展することも少なくないのです。
「伝える」ための、資料の目的と内容
次世代経営陣を鍛えるプログラムの最後に現職経営陣に向けて提言をしてもらうことがよくあります。その際に、受講生たちには以下の3点セットをつくってもらいます。
• プレゼン用資料(パワーポイント)
• 配布資料(30ページから50ページ)
• プレゼン・配布資料のサマリー(A4 1枚)
提言でカバーする範囲は多岐にわたります。それをプレゼンの中ですべて表現することはお薦めしていません。情報量が多すぎて伝わらなくなること、また伝える側の意図と異なる点にスポットライトがあたってしまう可能性があるからです。プレゼンはキーメッセージに絞ります。あとはQ&Aで縦横無尽に話せるように準備してもらいます。
配布資料はプレゼン資料とは違います。プレゼンは話し手がいることが前提の資料です。配布資料は違います。話し手がいないところで(プレゼン会場の外で)読めばすべてがわかるように書きます。検討あるいは収集した資料も添付(Appendix)します。活動記録もつけます。
サマリーはキーメッセージを1分でわかるようにまとめたものです。提言を受ける方々にはプレゼンの前にサマリーを配布して目を通してきてもらいます。“目を通す”。その字のとおり“目を通す”だけわかるものをつくってもらいます。読み込ませるものではありません。見るだけでメッセージが伝わるレイアウト、コピー(見出し)、文字数にすることがポイントです。場合によっては、デザインで伝えるポスター的なレイアウトやショートビデオという選択肢もあります。
このスタイルを研修の発表の場だけでなく、日常的な会議の場でも実践するとコミュニケーションのレベルが格段にあがるはずです。
おまけ
おまけー1:(最初の伝え方が悪く)高齢の芸能人が“若作り”しているようになったので、4日後、ジョージ・クルーニみたいに直してくださいとお願いしたところ、“にしきのあきら”になりました。(おまけに髪の毛も多く失いました・・・涙)
おまけー2:鬼殺隊の「柱」の仕組みは一般企業の職能資格制度、上弦下弦の鬼の仕組みはオーナー企業によくみられる形ですね。
おまけー3:「呪術廻戦」。明らかに「鬼滅の二番煎じ」なのですが、はまります。
https://jujutsukaisen.jp/
執筆
Indigo Blue 代表取締役会長
柴田 励司(Reiji Shibata)
上智大学卒業後、京王プラザホテル入社。在籍中に、在オランダ大使館出向。その後、組織・人材コンサルティングを専門とするマーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング(現マーサージャパン)に入社。2000年には、38歳で日本法人代表取締役社長に就任する。以降、キャドセンター代表取締役社長、デジタルスケープ(現イマジカデジタルスケープ)取締役会長、デジタルハリウッド代表取締役社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブ代表取締役COOなどを歴任。2010年7月より株式会社Indigo Blueを本格稼働。
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